資産家ウォーレン・バフェット氏が22日公表した書簡で商社株の買い増しを示唆したことを受け、週明けの東京市場で伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、住友商事、三井物産の5大商社株が逆行高となった。

24年株主総会会場でのバフェット氏のパネル

取引開始と同時に人気化した商社株の終値は、伊藤忠株が前営業日比6.7%高、丸紅株が同7.5%高、三菱商株は同8.8%高、住友商株は同6.6%高、三井物株は同4.7%高。半面、日経平均株価はリスク回避の売りが強まったことで1.4%安とさえなかった。

バークシャーの保有が明らかになった2020年8月以降、商社株は上昇基調にあったが、昨年8月の世界的な急落以降は下落基調にあることで、バフェット氏の買い増し示唆は絶好の買い時だと捉えられた可能性がある。

SMBC日興証券のシニアアナリスト、森本晃氏は25日付メモで、足元での商社株の低い期待値を踏まえると「いったんは反発の契機となる」と指摘した。一方で株価の持続性については判断しづらいと述べた。

ロシアのウクライナ侵攻による資源価格の高騰を受けて大手商社の純利益は22年3月期に大幅増となり、翌23年3月期には三菱商と三井物が初めて1兆円の大台を超えた。中国の景気減速などで市況が悪化したものの、各社とも利益水準を概ね維持している。

 

野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストも、株価が下がった際に魅力的な投資対象との姿勢を示したことで、いったん下げ止まる可能性があると指摘。商社株全体に追い風で、投資家には一定の安心感につながりそうだと評価した。

バークシャーは商社5社の株式を平均で8%超保有。これまでは10%未満で維持することに合意していたが、22日の書簡では上限が近づいていることから各社と「上限を若干緩める」ことに同意したと明らかにした。その上で、長期的に保有し、「幾分か」増やすとの見方を示した。

バークシャー傘下の米アパレル・アンダーウェアブランド「フルーツオブザルーム」のマスターライセンス権を取得するなど協業案件のある伊藤忠は、さらに良好な関係を築き、互いにメリットのある形での協業を引き続き模索するとした。丸紅も「商社セクターを高く評価して頂いていることの証左」と歓迎する。

(25日終値の情報を追加しました)

--取材協力:長谷川敏郎.

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