資産家のスティーブ・コーエン氏は、米経済が今年下期に成長ペースを落とす可能性が高いとみている。移民法の厳格化と、イーロン・マスク氏が率いる政府効率化省(DOGE)による政府支出削減の取り組みが、経済を圧迫するという。

ヘッジファンド、ポイント72アセット・マネジメントを創業したコーエン氏は、マイアミで開かれた国際投資会議「フューチャー・インベストメント・イニシアティブ(FII)」で登壇。自身の見通しについて問われ、弱気なトーンでの回答となった。同氏は根強いインフレと、成長減速、報復の応酬に発展する可能性が米経済の足を引っ張ると指摘した。

「実際のところ、これほどネガティブになったのは久しぶりだ」とコーエン氏。「そうした期間は1年程度で終わるかもしれないが、最良の利益が過去のものになったことは間違いない。著しい調整が入っても驚かないだろう」と述べた。

米経済は今年下期、約2.5%から1.5%に成長ペースが減速する可能性が高いとコーエン氏はみている。マスク氏のDOGEは緊縮政策的なイニシアチブだとして、コーエン氏は否定的な見方を示し、関税は経済を停滞させるだろうと話した。

「関税はポジティブになり得ない。税だからだ」とコーエン氏。「米国が関税を発動すれば、相手国が報復するのは目に見えている。相手国も大きな勝負に出て、税率を引き上げるだろう」と述べた。

ホワイトハウスは貿易不均衡の是正策から、諸外国にディール(取引)を迫る手段まで、あらゆる目的に関税を活用すると自負している。2月の米企業活動は拡大したものの、2023年9月以来の低水準にとどまった。サービス業活動の縮小が響いた。

原題:Steve Cohen ‘Negative’ on US Economy, Citing Tariffs and DOGE(抜粋)

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