(ブルームバーグ):ドイツの政党別支持率は過去の選挙で比較的正確であることが証明されており、ここ3カ月に大きな変動は見られていない。それでも世論調査会社は、予想外の結果にならないか神経をとがらせている。
ブルームバーグがインタビューした世論調査会社の関係者は、今回は結果に影響し得る予測不可能な要因がいくつもあると指摘した。
昨年のドイツ地方選では、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の勝利を阻もうと、対抗できそうな候補に中道寄りの有権者の一部が票を移す投票行動が見られた。今回もそれと同様の戦術的な投票が、結果を動かす可能性がある。
一方、AfD支持者の中には支持政党を表明したがらない者もいるかもしれず、同党の支持は世論調査が示すよりも高い可能性がある。また、どの政党に投票するか決めていないとする有権者もまだ10%以上いる。
ドイツの主要世論調査機関の一つ、フォルサの創業者であるマンフレート・ギュルナー氏は「今回の総選挙ほど、投票前の不透明性が大きいことはめったにない」と指摘。「最終的な判断がこれまでで最も難しいと感じる有権者が多いのではないか。誰に投票すべきか、分からない有権者も多い」と述べた。

確実性を求める投資家は、保守系のキリスト教民主・社会同盟 (CDU・CSU)とその首相候補であるメルツ氏の支持が予想を下回ることがないか、注視するだろう。
ブルームバーグがまとめた世論調査の平均値によると、ここ数カ月にわたりCDU・CSUの支持率は30%前後を保っている。AfDは約20%で二番手に付け、ショルツ首相の社会民主党(SPD)が約15%、緑の党が13%と続く。
同国紙ビルトの委託を受けて世論調査を行うインサ・コンズラーのマネジングディレクター、ヘルマン・ビンカート氏は「政治的な大勢はここ数週間、極めて安定しているように見える」と述べた。
「選挙当日は世論調査結果を確認する方向になると思う」とし、今回はドイツの主要世論調査会社8社の結果が一致しているが、通常は必ずしもそうではないと指摘した。
フォルサのギュルナー氏はAfD支持を公表しない隠れ支持者について、「報告されていなかった極右政党の支持者が過去には常に多数いた」が、AfDが「社会的に受け入れられるようになった」ため、「過去の選挙時よりも調査で支持していると表明しやすくなった」との見解を示した。

選挙後の連立交渉の行方は、自由民主党(FDP)と左派党、ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)の3つの小政党のうち、議席獲得に必要な5%の最低得票率に達する政党が出てくるかどうかにも大きく左右される。
いずれかがこの得票率を達成すれば議席配分に影響し、過半数確保で3党連立が必要になる可能性がある。例えば、CDU・CSUとSPD、緑の党の連立だ。
「小政党の3党が議席を得るかで、大きく変わってくる」とギュルナー氏は指摘。「3党のどれも議席を得られなければ、メルツ氏は緑の党かSPDか、望ましい相手を選ぶことができる。3党が全て議席を得るなら、2党だけの連立はあり得ない」と述べた。
公共放送ARDが先週発表した世論調査によると、投票する政党をまだ決めていない有権者は約13%おり、さらに18%が投票しない、または投票するか分からないと回答した。
原題:Germany’s Historically Accurate Pollsters Are Still a Bit Uneasy(抜粋)
--取材協力:Chris Reiter.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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