米大統領に返り咲いたドナルド・トランプ氏が試みている一連の改革に対し、原油市場はますます鈍感になりつつある。

トランプ氏は就任後の数週間に石油輸出国機構(OPEC)を批判し、ウクライナでの戦争終結を目指し、米国の主要な原油調達先の一部に対する関税賦課もちらつかせた。こうした動きはどれも原油市場の需給に大きな影響を及ぼす可能性があった。

しかし、価格変動を引き起こすどころか、先物市場は横ばい状態にある。指標の北海ブレント原油先物のインプライドボラティリティー(IV、予想変動率)の指標は今週、昨年7月以来の低水準を付けた。

エミリー・アシュフォード氏らスタンダードチャータードのアナリストは「原油市場は、大量の新しい政策スタンスに直面して方向感覚を失っている兆候を見せている」と指摘。「大量の情報と、ソーシャルメディアへの投稿一つで市場がどちらの方向にも大きく動きかねない状況に直面し、リスクへのエクスポージャーを減らす対応を取るトレーダーが多い」と述べた。

 

もっとも、ボラティリティーの低下はトランプ大統領がホワイトハウスに返り咲く前から見られていた。バイデン前政権による前例のない規模の対ロシア制裁でも、その影響はすぐに薄れた。

OPECと非加盟産油国から成るOPECプラスは引き続き市場への原油供給を抑えている。これは供給抑制による価格下支え効果と同時に予期せぬ供給混乱に対応できる十分な余力を意味する。

トランプ大統領がカナダとメキシコからの輸入原油に関税を賦課する構えを見せた際には原油価格が一時的に上昇したが、その後、米国がウクライナ戦争終結に向けたロシアとのディール(取引)を目指していることを背景に価格は下落している。

その間にも、イランの石油輸出に対し最大限の圧力をかける戦略を打ち出したほか、米国で増産し戦略石油備蓄を満たす方針も表明した。しかし、それらもこれまでのところ市場の見通しを大きく揺るがすには至っていない。

ブレント原油先物はここ数カ月、1バレル=75ドル前後で推移しており、2月に入ってからは4ドル未満の値幅で変動している。

原題:Trump’s Policy Deluge Is Causing Paralysis in the Oil Market(抜粋)

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