2月にはトランプ関税への過度な警戒の後退などから複数のテクニカル指標がドル安・円高を示唆

2月に入ると、トランプ関税の行方に市場の注目が集まりましたが、結局メキシコとカナダへの関税発動は2月4日から1カ月延期され、発動は中国のみとなりました。

また、米サプライマネジメント協会(ISM)の1月非製造業景況感指数など、直近で発表された米経済指標に市場予想を下回るものが続いたことから、米国の過度な関税引き上げやインフレ再燃への警戒が和らぎ、足元で大きく米長期金利が低下し、米ドルが売られました。

また、日銀の田村直樹審議委員が2月6日、「2025年度後半には少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが、物価上振れリスクを抑え、物価安定の目標を持続的・安定的に達成するうえで必要」との考えを示し、市場で円買いの勢いが強まりました。

ドル円は2月6日時点で200日移動平均線を下抜け、日足の一目均衡表ではドル売りシグナルが点灯し、パラボリックではドル安・円高へのトレンド転換が示唆されています。

ドル円は短期的にドル安・円高が進みやすい流れに、目先は米雇用統計と日米首脳会談に注目

これら複数のテクニカル分析を踏まえると、ドル円は短期的にドル安・円高が進みやすい地合いにあると判断されます。

仮に、ここから一段とドル安・円高が進んだ場合、2024年11月29日から12月9日までの期間で揉み合いとなった節目の1ドル=150円や、12月3日の取引時間中につけた148円65銭近辺が、ドルの安値(円の高値)として意識される可能性が高いと思われます。

目先の焦点は、日本時間2月7日午後10時30分に発表される1月米雇用統計と、8日未明の日米首脳会談です。
雇用の減速が緩やかなペースにとどまり、日米首脳会談もネガティブ・サプライズなく総じて友好的な雰囲気で終われば、いったんドル高・円安方向の戻りも見込まれます。

首脳会談では、米国側から対日関税引き上げなどの強硬姿勢や円安懸念が示されるリスクは小さいとみていますが、注意しておくべき点ではあります。

(※情報提供、記事執筆:三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト 市川雅浩)