リトアニアとラトビア、エストニアのバルト3国は、ロシアの電力網との接続を遮断し、欧州大陸の電力網への接続を完了した。長年の目標であるロシア産エネルギーへの依存脱却を目指す。

バルト3国は8日、ロシアおよびベラルーシにつながる高圧送電線との接続を遮断。その後1日間、同3カ国の電力網は自立的に稼働し、9日にポーランド経由で欧州の電力網に接続した。

今回の電力網切り替えは、旧ソ連時代から続いてきたバルト地域のインフラ見直しを行うため、5年間にわたり進められてきた取り組みの集大成。欧州連合(EU)から16億ユーロ(約2510億円)規模の資金援助を受けて行われた。

北大西洋条約機構(NATO)の東方防衛を担うバルト3国にとって、エネルギー安全保障は国家安全保障と同じ意味合いを持つ。これら3カ国はいずれもロシアと国境を接しており、同国の全面的な軍事侵攻に対抗するウクライナの強力な支援国でもある。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、リトアニアの首都ビリニュスで開かれた式典にポーランドやバルト諸国の大統領らとともに参加し、「今日、歴史が作られた」と述べた。

フォンデアライエン氏は、「敵対的な隣国とつながった送電線の鎖は過去のものとなる。これは脅威からの自由であり、脅迫からの自由だ」と語った。

バルト3国は2022年にロシアから石油・天然ガス・電力の輸入を停止したものの、電力網の周波数管理は引き続きロシアに頼っていた。これはロシアが同地域の電力供給をある程度コントロールできる能力を保持していたことを意味する。

原題:Baltics Unplug From Russian Grid to Gain Energy Independence(抜粋)

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