(ブルームバーグ):ニュージーランド(NZ)は国外の富裕層を呼び込み景気回復の起爆剤とするため、いわゆるゴールデンビザ(査証)プログラムを簡素化する。英語力要件の撤廃も打ち出した。
スタンフォード移民相は9日、「アクティブ・インベスター・プラス(AIP)」ビザのカテゴリーが4月1日から2つに減るものの、投資の対象範囲は拡大されるとオークランドで述べた。
同相はまた、語学テストを廃止するだけでなく、投資家が国内に滞在しなければならない期間など、投資の障壁となり得るその他の要件も調整されると明らかにした。
2024年の深刻なリセッション(景気後退)を経て、中央銀行の利下げを機に政府は景気の活性化を図っているが、必要な資本が不足していることを認めている。
そのため外資規制の見直しを開始。海外ファンドマネジャーのための「ワンストップショップ」となる単一機関を設立し、高度なスキルを持つ人材の移住促進を期待し、リモートワーク規定を緩和した。
AIPビザは富裕層の呼び込みに成功し、一時は年平均10億NZドル(約860億円)を集めたが、22年後半の規定変更後は低迷している。
変更されるプログラムのカテゴリーは以下の2つ。
- 成長カテゴリー(ハイリスク型)は、3年間に最低500万NZドルを直接事業に投資するか、または運用ファンドに投資しなければならない。ビザ保有者はNZに21日間滞在する必要がある
- バランスカテゴリー(混合リスク型)は債券や株式、新規不動産開発もしくは既存の商業用・工業用不動産に5年間で最低1000万NZドルを投資することが求められる。ビザ保有者はNZ国内に最低105日間滞在する必要があるが、最低投資額を超える投資を行うことで、その期間を短縮することが可能
低めのリスクを取る投資家向けのオプションを提供することで、高リスク投資を好む移住希望者だけに焦点を絞るのではなく、より幅広い層の人々にとって魅力的なものになるだろうとスタンフォード移民相は述べた。業界との協議の過程で、すでに申請者から多くの関心が寄せられているという。
NZが投資家ビザの規制を緩和するのとは対照的に、多くの国々では類似のプログラムが縮小されている。
スペインは4月3日にゴールデンビザのプログラムを打ち切り、英国とアイルランド、オランダ、ギリシャ、マルタではゴールデンビザまたは同等の政策について、廃止ないしはルールをより厳しくした。
オーストラリア政府は、500万豪ドル(約4億7600万円)を超える投資を行った外国人に発給していた投資家ビザを事実上廃止。経済の生産的な部分に大きく貢献することなく、不動産や金融資産を購入する富裕層によるこのビザの乱用が懸念されたためだ。
原題:New Zealand Changes ‘Golden Visa’ to Lure Wealthy Migrants (1)(抜粋)
--取材協力:Ben Westcott.
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