カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁は29日、米国との貿易戦争が起きた場合、同中銀は経済的な損害を修復することはできないが、その痛みを和らげるため、最善を尽くすと語った。

トランプ米大統領は2月1日にもカナダ製品に最大25%の関税を賦課する考えを示している。実行された場合、カナダ経済に大きな打撃となり、報復関税で対抗すれば輸入物価の上昇を通じてインフレを押し上げる可能性もある。

マックレム総裁はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、「関税の大幅引き上げはカナダ経済にとって大きな妨げだ。金融政策でそれを解決することはできない」と述べた。

同総裁は貿易対立が起きれば、カナダ経済の効率は低下すると指摘。生産減少で所得も減り、成長率は鈍化するとみられる。

カナダ銀行のマックレム総裁

それでもマックレム氏は、経済ショックが必要以上に急激で痛みを伴うものにならないようにし、物価が押し上げられても一時的なインフレの加速にとどめ、適度に早く落ち着くようにすることで、カナダ中銀が「その調整を支援するよう試みることは可能だ」と述べた。

また、市場に大きな「機能不全」が見られた場合、カナダ・ドルの下支えに向けて行動する可能性も否定しなかった。

マックレム総裁はインタビューで、関税を巡る動向が今後より明確になると見込んでいるとし、詳細が明らかになれば2月の講演や3月の会合で、見通しの更新や「追加資料」を提供する用意があると説明した。

「最初に言われたことが必ずしもそのまま最終的な結論になるとは思わない。状況は変化するだろうし、トランプ氏はいろいろなことを言うことで皆を混乱させるのが上手だ」と話した。

原題:BOC Can Ease Tariff Pain But Can’t Fix the Damage, Macklem Says(抜粋)

--取材協力:Randy Thanthong-Knight.

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