(ブルームバーグ):29日の日本市場では株式が反発。中国の人工知能(AI)新興企業DeepSeek(ディープシーク)に対する警戒から下落していたハイテク株が買われた。円は小幅上昇して、債券は日本銀行の利上げ継続懸念から中期債が売られた。
ディープシークショックで前日に続落したアドバンテストなどハイテク株が買われ、日本株は電気機器銘柄が上げを主導した。28日の米株式市場でエヌビディアは9%高で引けた。これを受けて半導体関連銘柄では東京エレクトロンやルネサスエレクトロニクスも上昇、富士通や日立製作所も高い。
T&Dアセットマネジメントの酒井祐介シニア・トレーダーは「ハイテク株には反動買いが見られる」と述べた。
為替相場は、朝方にも日本銀行が公表した昨年12月18、19日の金融政策決定会合の議事要旨を受けてやや円高に振れる場面があった。債券は日本時間30日未明に結果が発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に長期債と先物は横ばい圏内で小動きだった。
株式
日本株は反発。ディープシークへの懸念をきっかけとした下げの反動や、オランダのASMLホールディングの決算を好感して半導体関連株や電線株に一段と買いが入った。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は、東京市場でも自律反発的な動きが目立ったとし、ASMLの好決算も支えになったと指摘した。前日は東証プライム市場で6割の銘柄が上昇しており、「投資家のリスクオフムードが全面的に広がっているわけではない」と話した。
TOPIX上昇に最も寄与したのは、十時裕樹社長の最高経営責任者(CEO)兼任を発表したソニーグループで、一時前日比5.1%高まで上がって最高値を更新した。営業利益が市場予想を下回った信越化学工業株は下落に転じた。
英国のアナリスト、ペルハム・スミザーズ氏はリポートで、市場の関心が変動の激しい半導体株から、より安全なテクノロジー株と見られるゲームやソフトウエアにシフトする中、ソニーは大きな利益を得るだろうと述べた。
為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=155円台前半。FOMCの結果発表を控え、持ち高調整目的の円買い・ドル売りの動きが出た。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、パウエル議長が会見でトランプ米大統領の政策を受けて、物価や雇用の見通しや利下げペースで踏み込んだ発言をするかが注目だと語る。
三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、米金融当局は市場コンセンサス通り政策金利を据え置き、ドットチャートで示されている年2回の利下げがいつ実施されるか「言質を与えない」と予想した。
日銀議事要旨について三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「当時のハト派的な市場の受け止めに反し、政策委員らが実際は利上げに近いところにいたことが明らかになった」と指摘した。
債券
債券相場は中期債が売られる一方で、超長期債は買われた。この日行われた5年クライメート・トランジション利付国債(CT債)入札は弱めの結果だった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは、利上げ局面では短い年限を売り、長い年限を買う利回り曲線のフラット(平たん)化トレードが行われることが多いが、この日も同様だったと指摘した。
CT債入札は最高落札利回りが予想を上回り、応札倍率は過去2回を下回った。大塚氏は「流動性が低いことに加え、日銀の利上げ警戒感が足を引っ張った可能性がある」と述べた。
新発国債利回り(午後3時時点)
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--取材協力:アリス・フレンチ、山中英典、横山桃花.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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