ポーランド政府の閣僚が、テスラ車の不買運動を呼び掛けた。同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がドイツを巡り「過去の罪にとらわれ過ぎている」と発言。第2次世界大戦中のナチス政権下の残虐行為に言及したとされている。

マスク氏はドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の政治集会にビデオリンクを通じてサプライズ出演。2月23日の独総選挙を前に、同党への支持の一環として発言した。その内容はドイツの第2次大戦中の戦争犯罪に関し、右派が共通して繰り返している主張でもある。

「子どもは親の罪を負うべきではないし、曽祖父母の罪を負うべきでないのは言うまでもない」とマスク氏は聴衆に語った。

この発言はドイツで直ちに批判を招いた。マスク氏は反移民の姿勢を取るAfDへの支持を強めている。ショルツ首相が属する与党・社会民主党(SPD)と国内最大の労働組合は、同氏の言動を非難した。

マスク氏の発言は特に、アウシュビッツ強制収容所の解放80年の追悼式典が27日に開かれたポーランドで大きな波紋を呼んだ。1939年以降のドイツ軍の侵攻でポーランド人約600万人が死亡。その半分はユダヤ人だ。

スポーツ・観光相のスワウォミル・ニトラス氏は27日にラジオで「恐らく多額の資産を持つマスク氏は脅威を感じていないのだろう。しかし、欧州の中心部に住み、80年前に起こったことを記憶している普通の人間は、無関心ではいられない」と語った。

「私が言えるのは、恐らく普通のポーランド人はもうテスラ車を買わない方がいいということだけだ」とニトラス氏は述べた。同氏はトゥスク首相率いる与党「市民プラットフォーム」の幹部。

ポーランドでは、電気自動車(EV)の購入促進に向けた新たな政府の計画が2月にスタートする。個々の自動車購入に対して最大4万ズロチ(約150万円)の補助金が支給される予定で、テスラも恩恵を受ける可能性がある。テスラは同国で最も人気のあるEVブランド。

原題:Tesla Faces Boycott Call in Poland After Musk’s Germany Remarks(抜粋)

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