(ブルームバーグ):ソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に関連する貸付債権の売却に近づいているウォール街の金融機関は、潜在的な買い手に魅力ある条件を提示している。それはXを率いるイーロン・マスク氏の人工知能(AI)ベンチャー事業の持ち分に対する権利だ。
モルガン・スタンレーが主導する銀行団は、マスク氏による2022年のツイッター買収を支援する融資で抱え込んだ担保付優先債権最大30億ドル(現在のレートで約4700億円)を売却する準備を進めている。事情に詳しい関係者によると、Xの評価額は、マスク氏のAI事業であるxAIの約60億ドルの持ち分で押し上げられている。この持ち分はこれまで未開示だった。
潜在的な投資家には、xAIに対するXの持ち分への権利が提供されると伝えられている。持ち分の規模は、xAIの評価額を約500億ドルとした最新の資金調達に基づいているという。同関係者は部外秘情報だとして匿名で話した。
モルガン・スタンレーの広報担当者はコメントを控えた。Xはコメント要請にすぐには応じなかった。
中国のAIスタートアップ企業DeepSeek(ディープシーク)の低コストモデルを巡る懸念で、AI関連株は27日に打撃を受けたが、同分野は依然として高い評価を受けており、今後数年間で最も有望なテクノロジー分野の一つと受け止められている。そのため、AIブームに関連付ければ、Xの債権が額面1ドル当たり100セントに近い価格で売り出されている理由は説明できるかもしれない。また、基盤となるソーシャルメディア事業の収益改善も一因である可能性がある。
24日のブルームバーグの報道によると、銀行団は債権額面1ドル当たり90-95セントでの取引について関心を探るため少数の投資家に接触した。今回の提示額は評価を大幅に改善するものだ。22年には一部企業から60セントという低評価が付けられ、その水準では銀行団に大幅な損失を招いていたとブルームバーグは当時報じていた。
マスクは23年にxAIを創業。主力製品であるチャットボット「Grok(グロック)」はXの有料ユーザーに提供されている。
原題:X Debt Shopped With $6 Billion Sweetener From Elon Musk’s AI Bet(抜粋)
--取材協力:Paula Seligson、Claire Ruckin.
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