(ブルームバーグ):トランプ米大統領は世界経済フォーラム(WEF)、年次総会(ダボス会議)に直接参加せず、同氏のビデオメッセージが発表されるのは閉幕間近になってからだ。しかし、誰もが話題にしているのはやはりトランプ氏だ。
アルゼンチンのミレイ大統領のようなファンは熱狂的に支持している。ウクライナのゼレンスキー大統領は、米国の新大統領に期待を寄せている。ドイツのショルツ首相のようにトランプ氏に標的にされそうな人々は目立たないようにしている。
ダボスでの会話はほとんど全て、新米大統領の政策についてだ。
ミレイ氏は22日、ブルームバーグ・ニュースのジョン・ミクルスウェイト編集主幹とのインタビューで、「トランプ氏が活躍する舞台を理解できなければ、同氏のビジョンを理解するのは難しいだろう」とした上で、「トランプ氏が掲げる指針は、より良い世界を創り出すだろう」と語った。

自由主義の純粋主義者であり、トランプ氏が大統領選勝利後に会った最初の外国首脳であるミレイ氏は、トランプ氏の自由貿易に対する考え方と、同氏が関税を重視していることとの間に矛盾はないと言う。
「トランプ氏は保護主義者というわけではなく、米国が世界で果たす役割を理解しており、その結果、米国の通商政策は地政学的戦略の一部になっている」と解説した。
他の指導者たちはそこまであからさまに熱狂的ではないものの、トランプ大統領のルールに従う用意があることを示唆した。
フィンランドのストゥブ大統領はインタビューで、「トランプ大統領の話を聞き、それに応じて行動する」と述べた。
もっと遊び心のある人もいた。ベトナムのファム・ミン・チン首相は「ゴルフをすることで、私の国や国民に利益をもたらすことができるのであれば、私は一日中ゴルフをしてもいい」と発言し聴衆の笑いを誘った。
昨年1月のブルームバーグテレビジョンとのインタビューでトランプ氏が米大統領に復帰する可能性について尋ねられた欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、質問に答える前にコーヒーをもう一杯飲む必要があると冗談を言った。
その場にいた聴衆は笑ったが、今では誰も笑っていない。
ユーロ圏の指導者たちは今週、過去の批判を捨てて友好的に接しようという姿勢で足並みをそろえた。
スペインのサンチェス首相はブルームバーグテレビジョンの番組で、「新政権との関係において建設的なアプローチを取らなければならない」と述べた。

昨年、オランダ首相としてダボス会議に出席していたマーク・ルッテ氏は、北大西洋条約機構(NATO)事務総長という現在の職を視野に入れ、欧州諸国に防衛費の増額を迫ったトランプ氏を称賛した。
この見解は当時、多少物議を醸したが、現在では広く受け入れられている。
ルッテ氏は今回のダボスで23日、「最終的には、トランプ氏がその議論を始めのは良いことだ。同氏は自分なりのやり方でそれをするだろう」とブルームバーグテレビジョンとのインタビューで語った。「それによって合意に達することが可能になるのだから、それで良いのだ」と付け加えた。
トランプ氏への大規模な資金援助とソーシャルメディアでの支援により大統領の側近の地位を獲得したイーロン・マス氏に狙いを定められた指導者たちも、礼儀正しく対応しようとした。
ショルツ氏は、ドイツの極右を公然と支援するようなマスク氏の言動についての質問に、マスク氏の名前を挙げることなく「欧州には言論の自由がある。ドイツでは、たとえ億万長者であっても、誰もが自分の望むことを発言できる」と答えた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとの停戦が実現した場合の平和維持部隊の展望に関し、欧州の限界について率直に語った。

「米国抜きではあり得ない。たとえ欧州の一部の友好国が、それが可能だと考えているとしても、それはあり得ない。米国抜きでは誰もリスクを負わないだろう」と、ブルームバーグとのインタビューで語った。
原題:One by One, World Leaders in Davos Fall in Line in Trump Era(抜粋)
(ルッテNATO事務総長のコメントを追加します)
--取材協力:Alessandra Migliaccio、Cagan Koc、Manuela Tobias、Zoe Schneeweiss、Daryna Krasnolutska、Rebecca Choong Wilkins、Jenny Leonard.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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