欧州の銀行ストレステスト(健全性審査)は今年、世界貿易の分断を想定したシナリオで行われる。欧州銀行監督機構(EBA)が20日、明らかにした。テストの結果が振るわなかった銀行は、株主への利益分配見直しを迫られる可能性がある。

EBAによると、欧州連合(EU)とノルウェーの銀行資産の約4分の3を対象としたこのテストでは、64行がエネルギー・商品価格の上昇やサプライチェーンの混乱、世界的な景気後退といったストレスをどう乗り切るか計画することが求められる。

戦争や貿易摩擦など地政学的リスクへの懸念が高まる中で、規制当局や監督機関は銀行側に衝撃耐久性を高めるよう促している。

EBAが想定するストレスは予測ではないものの、8月初旬に発表される結果は金融機関のリスク評価に寄与し得る。特に今年はトランプ米大統領が関税導入を図っており、隔年実施のこのテストへの注目度は高い。

ストレステストの「逆境シナリオ」では、失業率とインフレ率の上昇が想定されている。この条件の下でEUの実質域内総生産は3年間で6.3%縮小と、過去のテストよりも若干大きなマイナスとなる。

テストは合格・不合格という評価は下さないが、欧州中央銀行(ECB)などの規制当局はこの結果を基に各行の資本要件を個別に設定し、株主への利益分配を含む資金備蓄計画に対し、必要に応じ異議を申し立てることができる。

原題:European Banks Face Test of Resilience to Major Trade Shocks(抜粋)

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