香港の不動産開発大手、新世界発展は、融資借り換えの担保として150億米ドル(約2兆3200億円)相当の不動産を差し出した。香港の富豪、鄭家純氏の不動産帝国が直面している資金調達条件の厳しさが浮き彫りとなっている。

事情に詳しい関係者によると、新世界発展は2025、26両年に満期を迎える581億香港ドル(約1兆1600億円)の無担保ローンを借り換えるため、同社が持つ主要物件の一角を担保とする3年間の融資枠を提供するよう複数の銀行に要請している。

新世界発展の社債はここ数日で投げ売られ、一部は深刻なディストレスト水準に値下がり。無担保社債の保有者が確保し得る資産が減るのではとの懸念が広がった。

「K11 Artus」

鄭家が経営する新世界発展は、香港のデベロッパーの中でも特に高い債務負担に耐える能力があるのか投資家から疑問視され、混乱に巻き込まれている。鄭氏は経営の安定化を目指しているものの、同社最高経営責任者(CEO)の交代が続いている。

非公開情報だとして匿名を条件に述べた関係者によれば、新世界発展は中環地区の「新世界大廈」や高級サービスアパートメント「K11 Artus」などの不動産を担保として提供し、借り換えを試みている。

新世界発展は20日、包括的な債務再編の協議には入っていないと発表。同社にコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。

マージンローン

一方、UBSグループのウェルス部門は最近、新世界発展の一部社債・株式について、マージンローンの担保としての受け入れを停止した。事情に詳しい関係者が述べた。

シティグループおよびHSBCホールディングスのプライベートバンキング部門は数カ月前に同様の動きに出ていたという。

UBSとHSBC、シティの広報担当者はコメントを控えた。銀行はこうしたローン要件を定期的に見直している。

原題:New World Offers $15 Billion for Loan Collateral as Stress Grows、UBS Halts Margin Loans on Some New World Development Securities(抜粋)

(8段落目以降を追加して更新します)

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