(ブルームバーグ):アジアのプライベートクレジット市場で資金調達額が昨年、8年ぶりの低水準に落ち込んだ。中国経済の成長鈍化懸念を受け、市場心理が悪化している。
データ提供会社プレキンによると、アジア太平洋地域を主な対象とするプライベートデット(PD)ファンドの資金調達額は2024年、前年比34%減の54億ドル(約8400億円)にとどまり、16年以来の低水準を記録。また同地域への資金配分額は昨年、67%減の46億ドルとなった。
アジアで中国の市場シェアは小さくない。24年の資金配分額は、同地域全体の約2割を占め10億ドルに上った。ただ、もはや取引やリターンの大きな原動力とは言えない状況だ。不動産危機に加え、中国当局による金融サービスへの締め付けが、投資家離れにつながっている。
アジアのプライベートクレジット市場は成熟度が低い。国ごとに異なるリスク特性を持ち、複雑性も高い。こうした要因が重なり、投資家にいっそう売り込みづらい投資先となっている。
デビッドソン・ケンプナー・キャピタル・マネジメントのパートナー、プニット・パテル氏は、「アジア太平洋地域に特化したダイレクトレンディング(直接融資)ファンドの資金調達の減少は、アジアの多様な市場を巡るより広範な課題を反映している可能性がある」と指摘。「中国に関する懸念や法域関連のリスクが、減速の主因である公算が大きい」との見方を示した。
さらに複数の専門家によると、パブリックおよびプライベート両方のクレジット市場でプレミアムが圧縮され、アジアの投資家は貸し付けのリスクに見合う十分な対価を得られていない。
それでも市場参加者はなお、1兆6000億ドル規模の世界のプライベートクレジット市場でアジア太平洋地域が占める割合がわずかにとどまることから、25年について比較的楽観的な見方を維持している。
パテル氏は、アジアにおける企業の合併・買収(M&A)がダイレクトレンディングの機会を増やす可能性が高いとみている。
原題:Asia Private Credit Funding Hits Eight-Year Low on China Slump(抜粋)
--取材協力:Saikat Das.
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