(ブルームバーグ):中国で鉄鋼の過剰生産が続いている。国内消費が減少し、不採算の製鉄所は極めて厳しい状況で、業界はさらなる苦境に立たされそうだ。
中国の鉄鋼生産は2024年にわずかに減少したが、5年連続で10億トンを上回った。不動産危機の長期化と経済の構造変化で需要が低迷しており、需要に見合う生産量にするには、より大幅な削減が必要だ。
建設業と公共投資にけん引され数十年間続いてきた鉄鋼業界の拡大は終わりを迎えつつある。業界の新たな成長分野は、落ち込み分を十分に補うほどではなく、政府はより環境に優しいハイテクを重視した成長と消費に軸足を移しており、鉄鋼の経済的重要性は低下している。
「最悪期は終わらず、ほぼ全ての製鉄所が損失を出している」と、スタンダードチャータードのシンガポール支店で商品販売地域責任者を務めるジョン・チェン氏は指摘している。
中国の調査会社マイスチールは、30年までに生産量が9億トンを下回ると予想。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)は基本シナリオとして、中国の鉄鋼消費が20年の10億トン超から、30年までに8億トンを割り込むと想定している。最悪のケースで、20年代末には消費量が5億2500万トンにまで急減するとみている。
こうした予測は業界再編への取り組みに拍車をかける。製鉄所はキャッシュフローと利益率の維持に苦しんでおり、再編の動きが今年加速する可能性が高い。
国家統計局によると、中国の鉄鋼業界は24年のほとんどの期間で低迷。負債総額は昨年11月までに過去最大の5兆1000億元(約109兆円)に達したという。
マイスチールのアナリスト、ユィ・チェン氏(上海在勤)によれば、建設用鋼材に重点を置き、不動産市場の危機に影響を受けやすい中小の民間製鉄所が最も脆弱(ぜいじゃく)な状況にある。
原題:China Steelmakers Head for More Production Cuts as Demand Sags(抜粋)
--取材協力:Qingqi She、Winnie Zhu.
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