(ブルームバーグ):トランプ米大統領は就任初日の20日、中国を標的にした関税発動の発表を見送った。その代わりに、政権として世界における不公正貿易慣行に対処するとともに、中国政府がトランプ政権1期目に合意した第1段階の貿易合意を順守したかどうか調査するよう命じた。
一連の措置は未公表のファクトシートに詳述されたもので、「グローバリストの破壊的な影響、米国のこれまでの通商政策を反転すること」を目標としている。ブルームバーグ・ニュースがそのコピーを確認した。主要な連邦政府機関に対し、他国・地域による為替操作に対処することも求めている。
トランプ氏が思い切った関税措置を直ちに打ち出すことはないとの報道を受けてドルは急落。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時約1.2%低下した。

ファクトシートでは「この措置は、重要なサプライチェーンについて外国への依存を減らし、米国の産業基盤を再活性化させることに政権が専念していることを裏付けるものだ」としている。
就任初日に中国を直ちに標的にしない決定は、トランプ氏が交渉モードへとシフトし、習近平国家主席と新たな合意を結びたい意向を反映していると、関係者の1人が匿名を条件に話した。
今後数週間ないし数カ月に関税賦課を打ち出すことにつながる可能性があるものの、政権発足直後に発動の発表があるかもしれないと憂慮していた一部企業には安堵(あんど)をもたらすことになりそうだ。
トランプ氏は昨年の大統領選で、全ての輸入品への一律10-20%の関税と最高60%の対中関税を公約。当選後には、カナダとメキシコからの輸入品への25%関税賦課と、10%の対中追加関税の方針を表明していた。

ただ、今回の決定に詳しい関係者の一部は、トランプ氏が戦略に関する考えを突如見直すことはしばしばあり、中国を標的とする当初の計画の推進を再度決定する可能性もあると、注意を呼び掛けた。しかし、20日の措置は関税を巡りトランプ氏が選挙戦で表明してきた強硬姿勢よりも、一段と計画的なアプローチを示唆している。
ファクトシートによると、トランプ氏はこのほか、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」についても、米国の労働者や企業への影響を評価して、米国が協定に加盟し続けるべきかどうか勧告するよう、関係閣僚に指示する方針だ。
市場では、貿易戦争となればドルにとってプラスとの見方が出ていた。米国よりも他国の経済に打撃を与える可能性が高く、外国製品に対する米国の需要を下押しし、資金の逃避先としてドルの妙味が高まるとの見立てからだ。米国株式先物も値上がりした。
原題:Trump Holds Off on Immediate China Tariffs, Calls for Study (2)(抜粋)
(ホワイトハウスのファクトシートなど詳細を加えて更新します)
--取材協力:Josh Wingrove.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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