(ブルームバーグ):フランスの高級品ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンがデンマークの医薬品メーカー、ノボ・ノルディスクから約1年半ぶりに時価総額で欧州首位の座を奪回した。
ノボの株価は、超大型薬の糖尿病治療薬「オゼンピック」と肥満症治療薬「ウゴービ」が米政府のメディケア価格交渉の対象となったことで17日に4.3%下落。時価総額は約3550億ドル(約55兆3400億円)と、LVMHを2023年9月以来初めて下回った。LVMHの株価は0.8%下げて時価総額は約3560億ドルとなった。
高級品ブランド市場が中国消費者の購買意欲後退で低迷する中、LVMHの株価は昨年13%下落した。しかし、「カルティエ」などを展開しているリシュモンやイタリアのブルネロ・クチネリが好決算を発表するなど明るい兆しで投資家心理は改善している。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のアシュリー・ウォレス氏は最近のリポートで、「高級品の需要はここ10年で最も落ち込んでいたが、7-9月期に記録した底から徐々に回復傾向が見られる」とし、LVMHの投資判断を「バイ」に引き上げた。
中国の景気刺激策で同国経済が勢いを取り戻すとの期待から、欧州高級品セクターの銘柄から成るゴールドマン・サックス・グループのバスケットは昨年11月中旬以降20%強回復している。さらにトランプ次期米大統領が掲げる減税と規制緩和が米国の高級品需要を押し上げる可能性がある。
バークレイズのアナリスト、キャロル・マジョ氏は「困難な2024年を経て、25年には高級品セクターが小幅回復の恩恵を受ける見込みであり、業界の代表的存在であるLVMHは良い立場にあるとみている」と分析した。
ノボの株価は供給と薬価を巡る懸念や、肥満症・糖尿病治療薬の競争激化が響き、昨年6月に記録した上場来高値から40%余り下げている。12月には開発中の新薬「カグリセマ」の臨床試験で減量効果が予想を下回ったことを受け、株価は1営業日で20%強下落した。
高級品セクターを巡っては、今後の決算発表がなお注目される。特に主要地域の需要動向や、中国景気刺激策の影響の有無に関するコメントがポイントになる。LVMHは今月28日に通期業績を発表する予定。
原題:LVMH Regains Title of Europe’s Most Valuable Stock From Novo (1)(抜粋)
--取材協力:Joe Easton.
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