三菱UFJ銀行は16日、元行員が貸金庫から顧客の金品を盗んだ問題を受け、半沢淳一頭取の月額報酬の3割を3カ月間減額するなどの社内処分を発表した。堀直樹会長とリテール・デジタル部門長の山本忠司常務も同じ内容とする。

発表によると、このほか、ともにリテール・デジタル部門副部門長を務める山田直人常務と北村慎常務はそれぞれ同2割、3カ月間減額とする。追加の再発防止策として、貸金庫への入退室・開閉などの管理やモニタリング・チェック機能の強化方針なども示した。貸金庫ビジネスの方向性も検討する。

被害総額は約14億円で、このうち40件、約7億円について補償したとしている。同行は同日、金融庁からこの問題について求められていた報告書を提出した。

三菱UFJ銀行の看板

半沢頭取は昨年12月の記者会見で、「銀行ビジネスの根幹を揺るがすもの」とこの問題について謝罪。金庫の開錠に必要な銀行・顧客側の2つの鍵のうち、各支店で管理していた顧客の予備鍵を本部で一括管理するなどの再発防止策を発表していた。きょうの処分で自らの経営責任を明確化した形だ。

同行の説明によれば、元行員は発覚を回避するため、盗んだ金品を他の顧客の金品で補填していた。顧客が想定外に来店した際には貸金庫システムを切電し、故障を装ったという。盗んだ金は外国為替証拠金(FX)取引に流用していた。

また、問題の発生原因として、貸金庫内に防犯カメラが設置されていなかったことや、支店・本部によるけん制・モニタリングが不十分だったと説明。元行員が支店の営業課での在籍期間が長く、役割分担が固定化し、貸金庫業務が元行員任せになっていたことも影響したという。今後、貸金庫内に防犯カメラを設置する方針だ。

丹後健史常務は記者向け説明会で、「多くの方々にご心配とご不安をおかけし、社会的影響の大きさの責任を重く受け止め処分を実施する」と述べた。その上で、本部関係者や支店長などについても責任を検証し、処分を検討するとした。

警視庁は今月14日、貸金庫から金塊約20キロ、2億6000万円相当を盗んだとして支店長代理だった今村由香理容疑者(46)を窃盗の疑いで逮捕した。自らの立場を悪用し、予備鍵を不正に使用して内容物を窃取していたという。

(記者説明の内容を追加して更新します)

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