(ブルームバーグ):トレンドフォロー型のアルゴリズム取引で原油先物市場を席巻した商品投資顧問業者(CTA)は2年連続で損失を計上したことから、同市場から撤退しつつある。
コンピューターによる取引分析を提供するブリッジトン・リサーチ・グループによると、CTAは昨年、ここ10年余りで初めて原油先物取引で2年連続の損失となった。
損失が膨らむ中で一部のCTAは既に原油へのエクスポージャーを縮小しており、近年、圧倒的な存在感を示していた原油先物市場への影響力は弱まりつつある。これに伴い、需給バランスを重視するトレーダーが主役に返り咲き、日々の価格変動が正常化する可能性がある。
CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏の推計によると、CTAはポートフォリオの原油配分比率を昨年7月の4%から、わずか2%まで減らしたとみられる。
昨年の原油先物相場は19年以来の狭いレンジ内を推移した。ボラティリティーは抑制され、CTAが利益を得るために通常頼りにする持続的なトレンドが消失した。中東の地政学的緊張の高まりによる価格乱高下もCTA撤退の一因になったとアナリストは指摘する。
それでも一部のCTAは、やがてはアルゴリズムが原油取引で利益をもたらすと期待し、株式など他の取引による利益でそれまでの間、持ちこたえられると考えている。
そしてCTAにとって明るい兆しが見えつつある。TDセキュリティーズの商品ストラテジスト、ダニエル・ガリ氏はトランプ次期米大統領の通商政策によりインフレが再燃する可能性があり、そうなればマクロ経済の変動性が高まり、CTAを含め原油取引が活発化するのではないかと指摘した。
CIBCのバビン氏は、重要な問題はCTAがモデル内での原油・石油製品のウエートを高めるかどうかだと指摘した。
原題:Oil Algos Loosen Grip on Market After Back-to-Back Annual Losses(抜粋)
--取材協力:Kevin Orland.
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