(ブルームバーグ):米テキサス州南部のコーパスクリスティから約32キロメートル離れた地域は、地元の水道会社が高校のフットボールの試合用にシャワーのタイマーを配布するほどの干ばつに見舞われている。そんな地域で1日当たり最大800万ガロン(約3028万リットル)もの水を必要とする可能性があるリチウム精製工場の建設がほぼ完了した。
電気自動車(EV)メーカーのテスラは昨年12月、10億ドル(約1580億円)を投じるこのプロジェクトについて進捗(しんちょく)状況を公表。新工場でのリチウム精製処理能力のテストを開始したと明らかにした。だが、同社は施設稼働に必要な水を確保する契約をまだ結んでいない。リチウムをEV用バッテリー製造に使われる化学品にするイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の目標を実現する上でハードルとなっている。
テスラが今年中の生産開始を目指す同工場は、重要な原材料の国内サプライチェーンを強化するマスク氏の広範な取り組みの一端を担うが、小さな町のロブズタウンでは、大工場だけではく、生活に必要な水の供給を心配する住民もいる。
地域の水供給にテスラの工場がどのような影響を与えるかを判断するのは難しい。しかし、米環境保護局(EPA)によると、平均的な米国の家庭では1日当たり約300ガロン(約1136リットル)、年間では10万9500ガロンの水を使用する。
2023年時点で3804世帯が暮らすロブズタウンでの使用量は1日当たり約110万ガロン相当となる。テスラが1日当たり最大800万ガロンを使用する場合、ロブズタウン居住者の8倍近い水を使うことになる。
水不足
ビーチとエネルギー輸出で知られるテキサス州南部のこの暑い地域は常に乾燥しているが、テスラが23年5月に着工した当時よりもさらに水不足が深刻化している。水不足レベルは、緊急を要する「ステージ3」に引き上げられ、施設や公園では不必要な水の使用を控え、洗車や芝生への水やり、装飾用噴水の稼働に新たな制限が加えられている。
「シャワーの時間を短くし、歯を磨くときは蛇口を閉めるように言われている」と近隣のロストクリーク地区に住むマリー・ルシオさんは話す。同地域では既に水圧低下や水質に関する問題が頻発しており、地域の老朽化した水道管ではテスラ工場などの新たな需要に対応できないのではないかと心配するルシオさんは、「こうした産業に水を供給する体制が整っていない」と述べた。
テスラの工場長ジェイソン・ベバン氏は着工から約1年後に、郡判事に宛てた電子メールで、水道契約の「話し合いが難航している。契約締結に向けて緊急性を高める必要がある段階にきている」と記した。メールはブルームバーグ・ニュースが確認した。テスラはコメント要請に応じていない。
原題:Musk’s $1 Billion Tesla Plant Needs Water in Drought-Hit Texas(抜粋)
--取材協力:Dana Hull.
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