明治安田生命保険は4月に入社する新入社員の初任給を引き上げる。全国転勤がある総合職の採用コースでは、3万円アップの33万2000円(固定残業代含む)となり、生命保険業界では最高水準となる。

永島英器社長がブルームバーグとのインタビューで明らかにした。優秀な社員の維持や確保は生保業界全体の課題だ。同社は昨年度から人事制度改正で年功序列を廃止し、職務・実績ベースの処遇体制へと移行。5年ぶりの初任給引き上げも実施しており、2年連続での引き上げとなる。

永島社長は「AI(人工知能)にできないことにこだわって勝ち残ろうとしている中、人への投資は持続的に大切なテーマだ」と説明。全社的な賃上げについても、「インフレ率を勘案しながら適切に考えたい」と述べた。

生保業界では第一生命ホールディングス(HD)が24年4月入社の新入社員に対する初任給を27万6000円から32万1000円に引き上げた。銀行や証券も含めた国内大手金融機関で最高水準としていた。

金融業界では人材獲得競争が厳しさを増す中、初任給を引き上げる動きが広がっている。岡三証券は今年4月から現行の25万円から2割増やして30万円に引き上げるほか、大和証券グループ本社も1万円増の30万円とする方針。賃金動向は追加利上げのタイミングを探る日本銀行も注視している。

また、永島社長は海外事業について米国を中心に保険会社のさらなる買収に意欲を示した。昨年8月に米子会社を通じて団体保険に強い現地企業を3000億円で買収すると発表したばかりだが、海外市場でのさらなる成長の取り込みを目指す。

「米国中心に価値観を共有できる国や地域で、信頼できる経営者がいることが大事な着眼点だ」と指摘。個人保険や医療保険など専門領域の拡大も選択肢の一つとした。買収額については「何千億円だからだめだということはない。相手によってはある程度思い切っていかないといけないかもしれない」と述べた。

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