国内政治以外にも“落とし穴満載”の欧州経済が世界のリスクに?

2025年に向けた懸念点として欧州経済を挙げるのは、TBS経済部の佐藤祥太デスクです。欧州中央銀行(ECB)は12月に3会合連続となる利下げを決め、ユーロ圏の2025年の成長見通しを下方修正しています。

佐藤
「欧州経済で足を引っ張っているのはGDPの約25%を占めるドイツと約20%を占めるフランスです。ドイツは2023年に続き2024年もマイナス成長になり、「欧州の病人」の再来だと言われています」

前回ドイツが「病人」と呼ばれたのは1990年に東西ドイツが統一された後に経済が混乱した2000年代初頭でした。今回はロシアの天然ガス供給が途絶えたことによるエネルギー価格の急騰や物価上昇などが響き、独自動車大手のフォルクスワーゲンも経営不振です。

佐藤
「フランスも中央銀行が予測している2025年のGDPの成長率を1.2%から0.9%に下方修正しました。両国とも実は経済だけでなく政治でトラブルを抱えています。特にドイツは2月に連邦議会の選挙がありますが、それに先立つ州議会レベルでは右翼の政党がかなり躍進をしています」

「フランスはマクロン大統領が欧州議会での右派政党の躍進に直面してフランス議会解散に打って出ましたが、少数与党でうまくいかずに1年で首相が3回交代。組閣できずに立ち往生しています」

末廣さんはこの不安定な状況を招いた背景の1つには、FRBの金融政策やアメリカ政府の財政出動で世界中のお金がアメリカに吸い寄せられたことにあると言います。

「FRBがインフレを抑えるために利上げをして、ヨーロッパも通貨安のまま追随する形で利上げしましたが、経済には見合わないほどの利上げだった。ユーロ圏ではインフレは収まったものの景気が悪くなり、犠牲は大きかった」

ロシアのウクライナ侵攻で続く不安定な状況や、トランプ次期政権の外交政策も政情不安のただなかにある欧州を直撃しそうです。

播摩
「欧州も中国経済も多分悪い状況が続くでしょう。アメリカだけがいい状況が2025年も続くのかどうか。そのときに日本が欧州や中国経済の影響を受けないのか、利上げをする時間的な余裕があるかというと、かなりのクエスチョンですよね」

2025年も世界ではアメリカ経済とトランプ次期政権の動向、そして地政学的要素が市場を揺らすことになりそうです。