日本経済を左右する欧米経済や、内外の金融政策の2025年の見通しは?エコノミストとTBS経済部デスク・解説委員の3人が経済・金融の世界で2025年に注目すべきテーマを深掘りしました。

“深い追いは禁物”だが、アメリカのインフレ率は要警戒

「2025年は様々なテーマで(金融市場が)右往左往する可能性がある」と口火を切ったのは、大和証券チーフエコノミストの末廣徹さんです。

2024年は世界経済に影響を与えるアメリカ経済は変動が少なかったものの、市場の方が細かいテーマを追うことで「見通しの方が勝手に変化していた」1年だったと指摘します。

その上で「世界中で経済成長率もインフレ率が落ち着いていることから経済環境は大きく変化しない」と末廣さん。2025年も同様に金融政策などに市場が大きく反応する状況が続きそうだと予想します。

こうした情勢は「一言で言うと“深追いは禁物”」だとして、市場の動きは経済指標や金融政策などへの過剰反応である可能性を指摘します。

「2025年は新しい経済の“均衡点”を目指して細かい局面では(市場が)荒れる可能性がある」と警告するのはTBSの播摩卓士 上席解説委員です。

播摩
「アメリカ経済は落ち着いている。ただアメリカのインフレ率が本当に2%に落ち着くのか、2025年も本当に利下げが続くのか。場合によっては方向転換で利上げに変わる局面もなきにしもあらずというのが私の予想です」

アメリカの中央銀行にあたるFRBが12月に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)は2025年の金利引き下げの見通し回数を2回と公表しました。9月公表の前回見通しの半分の回数です。

播摩
「背景にあるのはアメリカ経済の強さです。消費者物価指数(CPI)はピークから下がってはきたものの、CPIの総合指数は足踏みしていることは明白なわけです。ここから本当にFRBが目指す2%インフレに近づくことができるのかが最大の焦点です」

「トランプ次期米政権が関税を引き上げ、大型減税が続いて財政支出も増えると、インフレ要因になります」

播摩解説委員はこの点から市場関係者は2025年2回の利下げは難しいと見ている人が多い、と指摘します。

「利下げは1回だけ、あるいは1回やった後に利上げに転じなければいけなくなると、アメリカではマネーの流れは利下げ方向だというストーリーが変わってしまう。そうなると波乱要因かと思います」