(ブルームバーグ):ソフトバンクグループの通信子会社がS&Pグローバル・レーティング(S&P)などから信用格付けを取得し、初の海外での社債発行に向け準備を開始した。米国での資金調達コストが低下しているほか、銀行からの借り入れでもメリットがあると市場関係者は指摘している。

国内通信大手のソフトバンクは12日、S&Pとフィッチ・レーティングスから格付けを新規に取得したと発表した。S&Pの格付けは「BBB」、アウトルックは「安定的」。
国内での社債発行と銀行からの借り入れが主な調達手段だったソフトバンクは、社債型種類株を日本企業で初めて発行するなど資金調達手段の多角化を進めており、最近は外貨を必要とする企業の合併・買収(M&A)も積極的に行っている。
ソフトバンクの藤原和彦最高財務責任者(CFO)はブルームバーグの取材に対し、「多くの投資家が参加する海外市場にアクセスすることは、資金調達の多様化の観点で有用」と説明。今後の事業成長に向け「外債発行も資金調達の一つの選択肢になる」と電子メールで回答した。
土屋アセットマネジメントの土屋剛俊社長は、ソフトバンクはモバイル事業でのシェアが大きく、キャッシュフローも安定し、「親会社よりも高格付けであるため、それなりの低コストで調達ができる」と指摘。銀行からの借り入れの際、「国内外の市場で自ら調達できるということであれば、金利の交渉材料になる」と話した。
ソフトバンクは2023年、アイルランドのキュービックテレコムに4億7300万ユーロ(約760億円)出資し、子会社化すると発表。自動車がインターネットとつながるコネクテッドカーの領域で世界トップシェアの獲得を目指すとしている。
ブルームバーグ・インテリジェンスのクレジットアナリスト、シャロン・チェン氏は「ソフトバンクは金利引き下げの期待を背景に、ドル建て社債市場に機動的に参入する可能性がある」と予想。さらに近年は日本を除くアジアからの供給が減少していることから、「日本発行のドル建て社債に対する投資家の需要が高まっている」との見方を示した。
(4段落にソフトバンクCFOのコメントを追記)
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