米株式相場の高値更新が続く状況下で、ウォール街のストラテジストの一部は、上昇を支える銘柄が少なくなっているという気掛かりな傾向を指摘している。

指標のS&P500種株価指数は12日、9営業日連続で値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回った。これは、ブルームバーグが2004年にデータ収集を開始して以来、最長記録。

こうした展開は、テクノロジー株急騰が他のセクターの不振を相殺する中で、米国株高の土台が弱まりつつあることを示唆している。株式市場が大型株主導になることは珍しくはないが、年初来で27%上昇しているだけに、割高感やポジションの積み上がりへの意識は強まる一方だ。

センチメントトレーダーのストラテジストらはこの現象を米国株の「長く力強い」強気相場の「初期の亀裂」を示していると表現。「投資家は二の足を踏み始めている」とコメントした。

S&P500種は時価総額加重の指数だが、各構成銘柄の比重を均等に扱うS&P500種イコールウエート指数(EWI)は12日に0.4%下落。10日まで7営業日連続の下降トレンドが再開した。一方、アルファベットやマイクロソフト、エヌビディアなど超大型株7銘柄「マグニフィセント・セブン」の指数は、人工知能(AI)への楽観論が再燃する中、過去10営業日中8営業日で上昇した。

パーパス・インベストメンツのチーフ・マーケット・ストラテジスト、クレイグ・ベイジンガー氏は今月9日のリポートで、「米株式相場が最高値を更新する一方で、相場動向はかなり急速に悪化している」と指摘。S&P500種構成銘柄のうち、主要な下値支持線を上回っている銘柄が減少している点に言及した。

50日移動平均線を上回る水準にあるのは全構成銘柄の半数未満。20日移動平均線を超えているのは34%、10日移動平均線を上回る水準にあるのは25%にとどまる。

S&P500種は現在、10日移動平均線および20日移動平均線を上回る構成銘柄の割合が、戒厳令騒動で揺れる韓国を除くと世界の主要指数で最低となっている。

マクミラン・アナリシスの創業者ローレンス・マクミラン社長は6日付メモで「市場の広がりは乏しく、売りシグナルの点灯寸前だ」と指摘。売りシグナルが点灯すれば、同社が注視する指標で初となると付け加えた。

原題:S&P 500’s Record Rally Shows Cracks as Most Stocks Left Out(抜粋)

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