暗号資産(仮想通貨)ビットコインへの投資を積極的に行っているデータ分析ソフトウエア会社の米マイクロストラテジーは、ナスダック100指数の構成銘柄組み入れに関する条件を全て満たしており、新規採用となれば同指数との連動を目指す世界で4510億ドル(約68兆6200億円)規模の上場投資信託(ETF)からの資金流入が見込まれる。

しかし、市場関係者は、13日の定期入れ替え発表でマイクロストラテジーの採用見送りの可能性も念頭に置いている。その理由の一つはシンプルで、同社が小さなソフトウエア会社からビットコイン投資を主体とする会社へと変貌を遂げたためだ。ナスダック市場で最も重要な100銘柄にふさわしくないとの声は多い。

マイケル・セイラー氏が共同設立した同社の株価は今年に入り500%余り上昇した。直近ではビットコインへの投資を加速させており、過去5週間にわたり毎週月曜日に数十億ドル規模のビットコイン購入を発表している。

ビットコインが最近、史上最高値を更新したこともあり、マイクロストラテジーのビットコイン保有額は現在、400億ドルを超えた。ただ、同社の基盤事業は今年7-9月(第3四半期)に3億4000万ドルの純損失を計上した。

それでも同社の時価総額は980億ドルと、ナスダック100構成銘柄の中でおよそ40位に相当するが、これはビットコインの買い持ち戦略に大きく依存しており、ナスダック100構成銘柄への組み入れを巡る判断に影響を及ぼす可能性がある。

TDカウエンのアナリスト、ランス・ビタンザ氏は「指数の狙いはそのユニバースに存在する銘柄の全体像を正確に示すことだ」とし、「ナスダックにおいて重要な部分を占める大企業は指数に反映するべきだ」と主張する。

ナスダックはマイクロストラテジーの事業規模が小さいことを理由に採用しない可能性があるが、同時に時価総額が非常に大きいため採用見送りは直感的に理解しにくいとビタンザ氏は語った。同氏はマイクロストラテジーに対する投資判断を「バイ」としている。

マイクロストラテジーの売上高はソフトウエア事業から生じているため、同社は業種分類ベンチマーク(ICB)によってテクノロジー企業に分類されており、金融企業を対象外としているナスダック100構成銘柄への組み入れが可能だ。

ただ、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ジェームズ・セイファート氏によると、来年3月の次回変更時にマイクロストラテジーは金融企業として再分類される可能性があるという。

RIAアドバイザーズのポートフォリオマネジャー、マイケル・レボウィッツ氏はマイクロストラテジーについて、ビットコインなしでは「本質的には死んだ会社」のため、コモディティーやETFにより近いと指摘。来年にも金融会社に再分類されるべきだと述べた。

一方、S&P500種株価指数構成銘柄への組み入れとなると話は変わってくる。新規採用には企業の収益性が考慮されるからだ。マイクロストラテジーは過去4四半期のうち3四半期で純損失を計上しており、この点が障害になる可能性がある。

原題:MicroStrategy’s Bitcoin Play Adds Wrinkle to Nasdaq 100 Decision(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2024 Bloomberg L.P.