仏銀BPCEがサムライ債の発行条件を決めた。政局不安にあるフランスの発行体にもかかわらず、定期発行の実績と高い利回りで投資家の需要を集め、発行総額は1099億円に達した。

BPCEは12日、6本のサムライ債を起債した。うち5年債はTONA(無担保コール翌日物金利)ミッドスワップに対するスプレッド(上乗せ金利)が68ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、発行利率は1.458%に決まった。

同銀はサムライ債を定例的に発行しており、その発行残高は1兆円超と最大だ。今回の起債は、本国フランスで内閣不信任案が可決されたことで政局が混迷し、財政再建に懸念が生じたタイミングと重なったが、投資家の購入意欲は高かった。

大和証券のデット・キャピタルマーケット第3部シンジケート課の松村和哉次長は、投資家も金利先高観はあるが「何かしら買っていかなければならない中で、格付けが高くスプレッドが相対的に厚く見えるのはサムライ債となる」と指摘。その上で、BPCEは起債ごとに来日し、投資家と直接対話して信頼につなげている「顔が見える発行体だ」と話した。

スプレッドは2023年12月に起債した前回債と比べて3年債は横ばいだが、5年債のほか、非上位シニア4NC3が92bp、6NC5は102bpとタイト化した。

主幹事のナティクシス日本証券によると、販売先は都銀、生損保、投信投資顧問、信託銀行、系統上部、中央公的、地銀、海外投資を含むその他諸法人だった。また匿名の注文(アカウントX)があった。

(最終段落に販売先について追記します)

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