11日の日本市場では円が対ドルで151円台後半に上昇。米国長期金利の上昇を受けた日米金利差の拡大を意識する円売り・ドル買いの流れは一服、日本時間今晩に米国で発表される消費者物価指数(CPI)を控えて円が買い戻された。債券は中長期債が下落し、株式は小幅高となった。

米国の金融政策をみる上で注目される11月のCPIは、食料品とエネルギーを除くコア指数が前月比0.3%上昇と10月と同幅の伸びが見込まれている。12日には11月の米生産者物価指数(PPI)が発表される。

金利スワップ市場では17、18日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げの織り込みが8割台で推移する一方、来年1月は据え置きとの見方が多い。

三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、ドル・円の日足チャートが2日連続で陽線を描いたことで調整が出やすい面があると指摘。米CPIが強い内容となった場合、12月の米利下げ織り込みが急激に剝落するリスクはあるものの、「CPIの中身からは今回は大きく上振れする要因はない」との認識を示した。

外国為替

円相場は上昇。米CPI発表を前にポジション調整の動きが出て円は買い戻された。

東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは、ドル・円は200日移動平均線(152円付近)を抜けたが、特段材料があったわけではなかったと指摘。その上で、節目で止まったためドル売りが出たようだと話した。値幅は大きくなく、基本的にCPI待ちの展開だったと振り返った。

債券

債券相場は中長期債が下落。米長期金利の上昇を受けて売りが優勢だった。一方、日本銀行の追加利上げが先送りされるとの観測が強まり、相場を下支えした。先物の日中取引は2025年3月物の出来高が24年12月物を上回った。

金利スワップ市場では日銀の12月利上げの織り込みが2割程度に低下している。岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、日銀の利上げについて「来週は見送りが濃厚で、1月との見方が依然多い」と指摘。ゆっくり見極めるなら3月まで先送りされる可能性もあるため、「債券相場は上値が重いが、下値も堅い」と話した。

財務省は午後4時から国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)会合を開催する予定で、来年度の国債発行計画を巡る話し合いに注目が集まっている。三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「一般会計の予算規模が見通せない段階で、市場を動かすような具体的な情報はないだろう」とみている。

新発国債利回り(午後3時時点)

株式

株式は米CPIの発表を前に積極的な売買が見送られ、指数は前日終値付近で推移した後、小幅高で終了した。防衛新税を創設との報道や一部企業の大型受注が判明したことを受けて防衛関連銘柄が買われ、金融も上昇した。

松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「トランプ相場が一段落して上値を追う動きが乏しい一方、中国の金融緩和の方向性も出てきており、下値を試す状況でもない」と述べた。

売買代金上位では川崎重工業やIHIなどの防衛関連株が大幅高。米金利上昇を背景に三菱UFJフィナンシャル・グループなどの金融株も買われた。半面、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の下落を受けディスコやレーザーテックといった半導体関連株が下げた。

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