企業の債券発行を支援するウォール街のバンカーは、2024年の業務に対して支払われるボーナスが増える見通しだ。活発な発行が続けば来年はさらに高い報酬を得られる可能性もある。採用と報酬の専門家が予測した。

人材紹介会社オプションズ・グループは、米国の債券資本市場関連バンカーは23年と比較して総報酬が23%増加すると予測している。報酬コンサルタント会社ジョンソン・アソシエーツは、債券引き受けの担当者の報酬が25-35%増加すると予想。来年はさらに良くなる可能性もあるという。

報酬増には昇給による部分もあるが、ウォール街の報酬を実質的に左右するのはボーナスだ。オプションズ・グループによれば、マネジングディレクタークラスの債券資本市場担当バンカーの総報酬は82万5000ドル-150万ドル(1億2000万-2億2000万円)となる見込み。米国勢調査局によると、23年の米国の世帯収入の中央値は8万610ドルだった。

バンカーに起こっていることは、債券関連の業務の量を反映している。ブルームバーグがまとめたデータによると、投資適格債およびハイイールド債市場は24年に22、23年の低迷から回復した。

経済の好調に加え、トランプ次期米大統領がディールメーキングへの障壁を取り除くと期待されていることから、発行は今後も増加傾向が続くとみられる。

「企業は非常に魅力的な金利環境を生かし資金を調達しようとしている」と、ジョンソン・アソシエーツの創業者でマネジングディレクターのアラン・ジョンソン氏は述べた。「資金調達を行うのであれば、今がその好機だ」と付け加えた。

ブルームバーグがまとめたデータによると、米国では今年、投資適格債の発行額が前年から25%増え、1兆4700億ドルを超えた。米国の高利回り債の発行額は54%増の2692億ドル。

欧州およびアジア太平洋地域でも発行は増えており、欧州の投資適格債発行高は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の頃に記録した水準を達成した。

バークレイズの銀行株シニアアナリスト、ジェーソン・ゴールドバーグ氏は「発行高とバンカー報酬は直接的な相関関係にあるわけではないが、両者には『そこその相関関係』がある」と述べた。

経済のファンダメンタルズからは、企業が今後も債券発行を続けることが示唆される。来年の発行額は投資適格債と高利回り債の両方で、今年の発行額と同等か上回るとの予測が多数出ている。

「顧客の債券発行額や取引高には限界があるが、まだそこに達していないのは確かだ」とジョンソン氏は述べた。

原題:Wall Street’s Bond Sellers Look Toward Bigger 2024 Bonus Rewards(抜粋)

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