米国史上最大規模の富の世代間移転が起ころうとしている。ただ、遺産を相続するのはほんの一握りの人々だ。

調査会社セルリ・アソシエイツの予測によると、今後25年間で約105兆ドル(約1京5700兆円)が世代間で受け継がれる見通し。遺産額の合計は2023年の世界の国内総生産(GDP)にほぼ匹敵する。

株式相場や住宅価格の上昇とインフレにより、1946-64年の間に生まれたベビーブーム世代が相続人に残す財産は膨れ上がると予想されている。 セルリによる最新の相続予測額は、わずか3年前に発表した25年間の予測額よりも45%も多い。 米国で贈与および相続される金額は、来年だけでも計2兆5000億ドルに達する見込みだ。

「現在保有されている資産の約80%が動くことになるだろう」と、セルリのリポートの主執筆者、チェース・ホートン氏はインタビューで指摘。「今後25年に移動が予想される資産の割合は大きく、10年前よりもはるかに多い」と話す。

しかし、何百万人もの高齢者の資産が受け継がれる中、相続で恩恵を受ける米国人の割合は横ばいで、富の集中が進んでいることを示している。

また、世代から世代へと受け継がれる金額が相続人の総資産に占める比率は増加している。労働や投資による収入に対して、相続する金額の割合が大きくなっているということだ。 ブルームバーグが米連邦準備制度理事会(FRB)の2022年家計資産調査(SCF)を分析したところ、相続したお金は受け取った世帯の純資産の約25%を占め、1990年代後半の約10%から増加していることが分かった。

米国では、亡くなった家族から遺産を受け取ることは依然として例外的で、一般的ではない。ブルームバーグの分析によると、ここ数十年で多額の贈与、信託、または相続を受けた世帯は5分の1に過ぎない。

セルリによると、相続財産はますます富裕層に集中する傾向が強まる見込み。 2048年までに世代間で移転される財産の半分以上が、投資可能資産が500万ドル以上ある世帯から生じるだろうと推定している。 米国の世帯のうち、この基準を満たすのはわずか2%程度だ。

原題:A $105 Trillion Inheritance Windfall Is On the Way for US Heirs (2)(抜粋)

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