米ニューヨークで4日早朝に銃撃され死亡した米ユナイテッドヘルス・グループの幹部には、警護が付いていなかった。世界の政治情勢が不安定さを増す中で、経営幹部の安全対策について早急な見直しを迫る可能性がある。

ブライアン・トンプソン氏(50)は、医療サービスを手掛ける同社の投資家向け説明会が開催されていたホテル「ニューヨーク・ヒルトン・ミッドタウン」の外で、背中と足を撃たれた。当局によれば、狙いを定めた犯行だったという。

ニューヨーク市警のジョゼフ・ケニー刑事部長は記者会見で、トンプソン氏はボディーガードを伴わず、1人でホテルに到着したと明らかにした。

2024、23年の委任勧誘状によると、ユナイテッドヘルスの幹部は、個人の警備・警護に関係する手当を受け取っていない。最高経営責任者(CEO)の身辺警護に年間数百万ドルを計上している米メタ・プラットフォームズやアルファベットとは対照的だ。

米保険会社シグナ・グループやヒューマナは、経営幹部の福利厚生に個人の警護を挙げているが、規制・監督当局への届け出に具体的なコストは記載されていない。

望ましくない注目

アライド・ユニバーサルのエンハンスト・プロテクション・サービシズ部門プレジデントを務めるグレン・クセラ氏は、経営幹部の警護サービスに投資しない企業が存在するのは、望ましくない注目を浴びかねないと感じているためだと分析する。

クセラ氏はインタビューで、「一部の人々は自分が物議を醸すような人物とは考えておらず、(トンプソン氏も)恐らく自分は安全だと思っていたのだろう」と語った。

ユナイテッドヘルスはアンドルー・ウィッティCEOに出張時の社用機の使用を求めているが、経営幹部個人の安全確保に関わるポリシーはそれだけだ。そうしたガイドラインは、同社の保険部門ユナイテッドヘルスケアのCEOだったトンプソン氏には適用されなかった。

原題:Slain UnitedHealth Executive Puts Focus on CEO Safety Policy (1)(抜粋)

--取材協力:Dylan Sloan、Joe Carroll.

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