積立投資と一括投資の比較だと、一括投資の方が資産形成のスピードが速い
次に、積立投資と一括投資での最終時価残高の違いを確認してみよう。
10年間投資した場合で国内債券型の最終時価残高の平均値では、積立投資だと元本に対する倍率が1.1倍、一括投資だと1.3倍に増えている一方で、米国株式型(ナスダック100)は積立投資だと2.0倍、一括投資だと3.4倍に増えている。20年間投資でも、一括投資の方が資産形成のスピードが速い。
最大値も平均値と同じ傾向にある。20年間投資した場合で国内債券型の最終時価残高の最大値では、国内債券型が積立投資だと元本に対する倍率が1.3倍、一括投資だと2.4倍に増えている一方で、米国株式型(ナスダック100)は積立投資だと7.8倍、一括投資だと14.4倍まで大きく増えている。
価格変動が大きい投資対象は、一般的に高いリターンが期待できるので、投資期間が長くなるほど、一括投資の方が積立投資より資産を形成するスピードが速くなることが分かる。
投資判断においては、試算した多くのケースを代表する最終時価残高の平均値を見れば良いのだが、極めてパフォーマンスが悪いケースである最終時価残高の最小値についても見てみよう。
米国株式型(ナスダック100)へ10年間投資した最終時価残高の最小値は、積立投資が136万円であるのに対して、一括投資が97万円となっている。この最悪のケース(2000年2月末投資開始~2010年2月末投資終了)は、投資開始時はITバブル崩壊直前、投資終了時はリーマン・ショック後の長期低迷期にあたり、回復期が訪れなかった最もタイミングが悪いケースである。
このように、10年間一括投資で最もパフォーマンスが悪いケースの場合の最終時価残高は、元本回復するまでに、S&P500は4年1か月、ナスダック100は7年7か月、日本株式は11年6か月もかかっている。最悪そのくらい待つことを覚悟する必要があるということになる。一括投資は投資開始時に 元本金額を投入し、元本の投入タイミングが分散できなくなるため、タイミングが悪い場合、一括投資は積立投資より最終時価残高が低くなる可能性がある。しかし、それは稀なケースと言える。また、投資期間が長い人や資金的に余裕がある人は、時価の回復まで待つこともできる。