(ブルームバーグ):日本企業による大型の社債発行が続出している。日本銀行の早期の追加利上げ観測が高まる中、先行きの金利上昇を見越した動きだ。
KDDIは29日、4本立てで総額2100億円の社債の発行条件を決めた。2024年度の起債総額は5100億円と、年度ベースで同社として過去最大になった。今週は旭化成も一度の起債として同社最大となる1000億円の社債を条件決定。ブルームバーグの集計によると、24年度の円建て社債の発行総額は29日時点で12兆5000億円を超え、同期間として最大を更新した。
金利スワップ市場では現在、日銀による12月の追加利上げ確率が6割超に高まっている。利上げに伴い長期金利が来年夏に1%台半ばまで上昇するとの予想も出るなど金利先高観が広がる中、社債発行コストの上昇を見越した企業の資金調達が勢いづいている。
SMBC日興証券の原田賢太郎チーフクレジットアナリストは「金利先高観が投資家の中に根強い」とし、金利が上昇して価格が下がるリスク、預金コストが上がるリスクの中で、デュレーションを抑えながら一定の利回りを確保しなくてはならない状況だと指摘した。また発行体は利上げの前に資金を調達しようというインセンティブから前倒しで調達したとみる。

KDDIは2年債、5年サステナビリティー債、7年サステナビリティー債と10年債の4本を起債した。広報担当者によると、5000億円規模の調達は年度として過去最大で、調達した資金はローソンの株式公開買い付け(TOB)に伴う借入金の返済などに充てる。
同社に加え、29日は大和証券グループ本社やパナソニックホールディングスなど計10社が起債した。今週はソフトバンクグループも主に個人投資家向けに7年債3500億円を起債。利率は3.15%となり、前回5月に条件決定した7年債(5500億円)の利率3.03%を上回った。
(第4段落にアナリストコメントを追加しました)
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