103万円の壁に一定の仮定を置き、今年度は前年度比0.3%、来年度は1.2%の成長を予想
なお、経済対策のなかで、年収が103万円を超えると所得税が生じる「103万円の壁」については、国民民主党の要望にそって、2025年度税制改正のなかで議論し、引き上げると明記されました。政府は11月28日に臨時国会を召集し、12月9日から2024年度補正予算案の審議を開始、臨時国会の会期末である12月21日までの成立を目指します。

103万円の壁の引き上げ議論は並行して行われ、2025年度の税制改正大綱で引き上げ幅が決定される見通しです。103万円の壁の引き上げについて、国民民主党の要求(178万円に引き上げ)の半分程度を仮定すると、減税規模は3.8兆円程度、需要創出効果はGDP比で0.2%程度になるとみられ、経済対策と合わせ、2024年度の実質GDP成長率は前年度比0.3%、2025年度は1.2%と予想されます。
経済対策への株式市場や海外投資家の反応は限定的、目先は103万円の壁の議論に要注目
経済対策は、おおむね事前に報道されていた通りの内容となり、株式市場にとって、特にサプライズとはなりませんでした。3本柱のうち、①日本経済・地方経済の成長において、AI・半導体産業基盤強化フレームの策定や、資産運用立国の実現に向けた取り組みの加速などが示されましたが、基本方針や現状の施策の説明であったため、海外投資家の反応はあまり大きくなかったように思われます。
今後、比較的大きな市場の反応が予想されるのは、103万円の壁の引き上げ度合いです。仮に国民民主党の要求通り、178万円に引き上げられた場合、減税規模は7.6兆円程度が見込まれます。恒久減税となるため、消費へのプラス効果が期待される一方、すでに地方自治体からは税収減を不安視する声が出ており、2025年度の税制改正大綱において、どの程度の上げ幅で着地するかが注目されます。
(※情報提供、記事執筆:三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト 市川雅浩)