(ブルームバーグ):日本生命保険が2025年度に行う保有国債の「入れ替え」は3兆円規模になる見通しだ。金利上昇により保有国債の含み損が拡大しており、低利回りの国債を売却して相対的に高利回りの国債を購入することで減損処理を回避する。都築彰執行役員財務企画部長が24日の下期運用説明会で明らかにした。
24年度に入れ替えを2兆円規模で実施したのに続き、25年度上期に約1兆5000億円実施した。国内債の含み損は9月末時点で4兆6900億円と3月末時点から1兆945億円拡大した。都築氏は「利回りがかなり低い債券をまだたくさん持っているので、可能な限り入れ替えをやっていきたい」と説明。下期の入れ替えが上期と同程度になることは「十分あり得る」としている。
巨額の資産を運用する生命保険会社の投資判断は世界の市場を動かす可能性があり、市場の関心は高い。最大手である日本生命は入れ替えに徹し、残高の積極的な積み増しには距離を置いている。
日本生命では上期の入れ替えにより、国内債の保有残高は200億円減少した。国内債の売却損は5000億円計上したが、都築氏は「株式の売却により一定程度相殺されており、収支全体への影響は限定的」と述べた。
日本銀行の利上げは年度内は12月か来年1月の1回、来年度後半に1回を想定している。
金利見通しは10年債が年度末に1.8%、上限は2.1%を見込んでいる。自民党と日本維新の会の連立政権の下、高市早苗首相が極端な財政拡張には走らないとの安心感から、生保の主な投資対象である超長期債を含め国内金利の先高観は一服している。ただ、都築氏は「年度末にかけて財政拡張が市場で意識される」と予想。30年金利は年度末に3%台前半を想定している。
現在の利回り水準は「すごく魅力的で飛びつく感じではない」と指摘。主要な投資対象は30年債で、10年債や20年債は買っているが、40年債は対象外だとした。
保有債券の時価が取得価格の50%を下回って回復の見込みがない場合、評価差額を有価証券評価損として計上する減損処理が会計基準で定められている。都築氏は上期末で減損会計に抵触する債券は保有していないとした上で、「保有債券が多く金利もかなり上昇しているので、減損規模が大きくなるのを避けるため、入れ替えをしている」と述べた。
【日本生命の2025年度下期運用計画】
【金融環境見通し:26年3月末の見通しとレンジ】
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