(ブルームバーグ):米スタートアップのアイキドー・テクノロジーズは、同社初となる浮体式洋上風力発電用の設備をミシシッピ州沖で完成した。陸地から離れ、強い風が安定して吹く海域でのタービン設置を可能とするものだ。トランプ次期米大統領が洋上風力発電に対する敵対的な態度をあらわにする中、海外市場に活路を見いだしている。
米エネルギー省によると、米国の洋上風力資源の約3分の2は、タービンを海底に固定できない水深の深い海域にある。カリフォルニア州をはじめ一部の州では、浮体式の洋上風力発電がこの問題を解決し、何百万もの家庭に電力を供給する手段になると見ている。
アイキドー・テクノロジーズはカリフォルニア州を拠点とし、開発に当たっては米エネルギー省などの支援を受けた。ただ洋上風力発電業界を取り囲む環境が厳しいことから、同社は米国を主要市場とは見なしていない。
トランプ氏は洋上風力発電開発をターゲットにした大統領令を発布すると宣言してきた。同氏はまたエネルギー省トップに石油・天然ガスの積極的な推進派として知られる石油掘削会社の最高経営責任者(CEO)を指名している。
アイキドー・テクノロジーズの共同創設者でCEOを務めるサム・カンナー氏は、米連邦水域内の承認待ちのプロジェクトは「しばらく遅れる」と予想する。
米国ではサプライチェーンを巡る問題やインフレも逆風となる。バイデン政権が洋上風力発電を重視しているにもかかわらず、ニューヨーク州やコネチカット州の大規模プロジェクトが中止や延期となった経緯がある。
このためアイキドー・テクノロジーズは、米国の政治情勢の変化や経済環境の改善を待つよりも海外展開が成功の鍵になるとの見方に立つ。
カンナーCEOは洋上風力発電業界について、スコットランドなどで一貫した支援や高い上限価格の設定、有利なインセンティブを受けているなどと指摘。「今後2、3年のうちに市場が本格的に立ち上がるだろう」と語った。
同社はまた事業拡大計画の中でフランスや日本、台湾、韓国にも注目している。
原題:Struggling US Offshore Wind Industry Sends Startup Abroad (1)(抜粋)
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