日本では中古住宅取得が増加傾向にある。住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」を用いた試算によると、住宅取得に占める中古住宅の割合は足元で3割を超えている。とりわけ近年は、地方部で顕著に増加している。

中古住宅の取得増加は、不動産価格の上昇が一因となっている。資材価格や人件費の上昇などにより、足元の不動産価格は過去10年間で1.4倍に上昇。住宅取得費用を抑制するため、新築住宅よりも安い中古住宅へ需要がシフトしている。国土交通省のアンケート調査によると、住宅所有希望者のうち、新築住宅を希望する層が減少する一方、新築・中古どちらでもよい、あるいは中古住宅を希望する層が増加した。


中古住宅の増加は、新築住宅の需要減少を通じて、日本の住宅投資を下押ししている。試算によると、中古住宅取得割合が1%ポイント上昇すると、住宅投資は1%弱減少する。中古住宅需要の拡大により、この10年間で住宅投資は1割減少した計算になる。中古住宅の普及でリフォーム関連の投資が誘発されるものの、住宅投資全体への影響は限定的である。
日本の住宅投資はかねてより減少傾向で推移している。先行きも、住宅取得能力の低迷や世帯数の減少という逆風に加えて、中古住宅の普及が住宅投資を下押しする見通しである。

(※情報提供、記事執筆:日本総合研究所 調査部 研究員 中野萌希)