記事のポイント
・ウォルマートの決算では、ディスインフレの継続と好調な個人消費が示された
・「物価⇒消費」と「消費⇒物価」のどちらのフェーズにあるのか?
・ウォルマートとターゲットの明暗はディスインフレの進展を示す
・ターゲットとウォルマートの株価の相対倍率はインフレ率の先行指標

ウォルマートの決算では、ディスインフレの継続と好調な個人消費が示された

11月19日に公表されたウォルマートの8-10月期決算は好調な結果だった。
ウォルマートは23年8-10月の決算で、コロナ後のインフレ高進の影響で個人消費に弱含みの兆しが見えていることを示し、当時は市場でリセッション懸念が強まった。
しかし、実際にはディスインフレが消費マインドを刺激し、個人消費は堅調に推移した。今回のウォルマートの決算でも、同様の動きが続いていることが示された。ディスインフレと堅調な個人消費が続いていることは、インフレの抑制と経済のソフトランディングを目指すFRBにとって非常に都合の良い組み合わせと言える。

ダグ・マクミロンCEOは「現在、米国のウォルマートでは全カテゴリーで約6,000件の値下げを実施している。GLP-1薬の成長による利益率への圧力を多少感じているため、一般商品の売上がプラスであることは喜ばしい。全社的に在庫は非常に良好な状態にある。今期の特徴としては、米国の港湾ストライキ、2つの大型ハリケーン、それらによる洪水被害があった。当社のチームは、これらの事態に備えて本当に素晴らしい仕事をした」と説明した(筆者訳。以下同)。全体としては、値下げを継続した結果として好調な売上高を維持したということだろう。

今後についてダグ・マクミロンCEOは「第4四半期は注目に値するだろう。感謝祭からクリスマスまでの期間が短いため、カレンダー的にはあまり好ましくない。しかし、すべてが終わってみれば、第1四半期から第3四半期までの勢いと似たようなものになるのではないかと思う」と述べ、先行きについても強気な見方を示した。

ジョン・デイビッド・レイニーCFOは「すべての収入層で利用が増えているが、高収入世帯が引き続きシェア拡大の大部分を占めている」と説明した。高収入世帯が比較的安価なウォルマートの商品に流れることで、マクロ経済全体にディスインフレ圧力がかかっていることが予想される。