(ブルームバーグ):中国の電気自動車(EV)メーカー、蔚来汽車(NIO)が20日発表した7-9月(第3四半期)決算は、市場予想を下回る売上高にとどまったほか、赤字幅もアナリスト予想より若干大きかった。中国市場では激しい価格競争が続いている。
7-9月期の売上高は187億元(約4000億円)、納車台数は6万1855台だった。調整済み純損益は44億元の赤字。
NIOの米国預託証券(ADR)は同日の取引で一時6.9%安を付けた後、0.4%高で取引を終えた。
米テスラの値引きをきっかけに、中国国内ではEV価格の引き下げ競争が始まり、ほとんどのEVメーカーが市場シェア維持のために値下げや無料特典の拡充を余儀なくされている。高級モデルのラインアップを展開するNIOは当初値引きに消極的だったが、最大3万元の価格引き下げに昨年踏み切った。
中国では利益率が高いハイブリッド車の販売がEVを上回っているが、NIOはEV生産に特化している数少ないメーカーの1社。
小鵬汽車や極氪(ジーカー)、阿維塔科技(アバター・テクノロジー)など多くのライバル企業は現在、EVに発電用のエンジンを搭載するレンジエクステンダーEV(EREV)の開発を計画している。

NIOの7-9月売上高が振るわなかったのは平均販売価格の低下によるところが大きい。ただ、粗利益率は11%近く上昇し、予想とほぼ一致した。
曲玉最高財務責任者(CFO)は20日の電話会見で、新モデルが来年から売上高を押し上げるとの見方を示した。
NIOは今年10-12月(第4四半期)に最大7万5000台の納車を目指すとしているが、アナリスト予想に届かない水準だ。10-12月売上高見通しは最大204億元。これも市場予想を下回った。
短期的な打撃
NIOのマスマーケット向け新ブランド「楽道(Onvo)」の納車は9月に始まったが、生産拡大に時間を要しており納車ペースは遅いと、李斌最高経営責任者(CEO)は電話会見で明らかにした。
この納車の遅れが楽道受注に短期的に打撃を与える可能性がある。
李氏は今年で終了する中国の自動車下取り補助金制度の利用を見込む顧客が離れてしまう恐れがあると述べた。ただ、同社の中型スポーツタイプ多目的車(SUV)「L60」には既に多くの注文が寄せられている。
NIOはなお2026年に損益分岐点に達することを目指している。来月には「Firefly」という別のブランドを発表する予定で、新モデルも投入されるため、来年の納車台数は倍増し得ると李氏は語った。
同氏はまた、欧州では中国製EVへの追加関税によりNIOは値上げせざるを得なかったが、対欧投資は継続する方針だと説明した。
原題:Nio Sales Fall Short as China EV Price War Takes Its Toll (2)(抜粋)
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