米国債市場で押し目買いが台頭し、米大統領選後の利回り上昇に歯止めがかかり、次期大統領の政策運営を見越した「トランプトレード」が頭打ちしつつある。

ドナルド・トランプ氏が掲げる一連の政策が経済成長およびインフレの加速につながるとの見方を背景に、トレーダーは過去1週間、米国債に対する弱気な見方を強めていた。

堅調な米経済指標や米金融当局の利下げ観測後退も相まって、10年債利回りは上昇(価格は下落)。一時4.5%程度と、5月以来の高水準を付けた。

10年債利回りに加え、30年債利回りも4.68%程度まで上がると、値ごろ感から買い手が引き付けられたもよう。米国債相場が今後数週間に値を戻し、年間リターンのマイナス転落が回避できるとの期待を維持している投資家からの買いもあったとみられる。

加えて、19日の取引では、ロシア・ウクライナ間の紛争激化懸念を背景とした質への逃避に伴う債券買いが活発化し、値下がりを見込む投資家にはさらに不利な市場環境となった。

結論として、来年に向けた利回り上昇シナリオに基づく取引は、少なくとも当面は勢いを失うと思われ、レンジ相場の継続とともにボラティリティーが低下する可能性が生じている。

相場変動の乏しい状況下では、低ボラティリティー期間を狙った上場オプション取引の増加もあり得る。18日には2700万ドル(約41億8000万円)相当のストラングル売りが確認された。大きな相場変動がなければ利益を得ることのできる戦略だ。

一方、JPモルガン・チェースの米国債顧客調査では、現物債市場で強気ポジションの構築が鈍化傾向にあることが示された。

同調査によれば、18日までの1週間に、現物債のロングポジション(買い持ち)が2ポイント減少した一方、ショートポジション(売り持ち)は変わらず。これにより、買い越しは10月28日以来の小ささとなった。

原題:Bond Traders See Short-Bet Payoff Capped as Dip Buyers Emerge(抜粋)

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