(ブルームバーグ):米宇宙開発企業スペースXのグウィン・ショットウェル社長は15日、同社の技術革新ペースにロケット打ち上げ承認は追い付く必要があるとし、米規制当局に対して新たな批判を展開した。
ショットウェル氏はニューヨークで開かれたバロン・キャピタル主催の会議で、「テクノロジーは簡単だ。物理も容易だ。人間は難しい。そして規制当局の人間が一番難しい」と発言。「われわれが求めているのは産業の規制だ。業界を安全に、正しく、公平にすることだ。しかし、われわれはもっと迅速に進まなければならない。ずっと速くだ」と語った。
ショットウェル氏は、スペースXが19日に新型宇宙船「スターシップ」の6回目の主要飛行試験を実施する計画であり、月や火星への飛行も想定したスターシップの打ち上げを向こう4年で最大400回見込んでいると説明。一方、直近の会計年度で規制当局が商業宇宙産業全体で認めたミッションは148回にとどまる。
実業家イーロン・マスク氏率いるスペースXなどは、商業宇宙事業の承認プロセスを速めるよう米連邦航空局(FAA)に圧力をかけてきた。マスク氏は9月、FAAのトップに辞任を求め、打ち上げライセンスに関する政府の事務手続きは実際のロケット製造よりも時間がかかると主張した。
宇宙事業の数が2028年までに2倍超になる可能性もあり、FAAは14日、打ち上げなどのライセンス規則を更新する計画だと発表した。
スペースXの優位性
スペースXの投資家はスターシップを巡る進捗(しんちょく)状況を注視している。スターシップは衛星通信サービス「スターリンク」のインターネット衛星を大量に軌道に打ち上げるとともに、人類を月、最終的には火星に移住させるというマスク氏の計画の目玉となる。
事情に詳しい複数の関係者によると、スペースXは内部株式の売却に関して初期段階の協議中で、自社の価値評価額を約2550億ドル(約39兆4000億円)に引き上げる可能性がある。これまでは約2100億ドルと評価されていた。スペースXは評価額に関するコメントを控えた。
スペースXは先月13日、スターシップの前回の試験飛行で大きな進展を遂げ、巨大な機械のアームを使って発射台に戻ってきたブースターをキャッチすることに成功した。
ショットウェル氏は打ち上げ市場におけるスペースXの優位性と独占への軌道について尋ねられ、「計画的な独占ではないでしょう。競合他社がしっかりとやってくれればね」と回答。「他社の追い上げを期待している。だってそうでしょう。競争は業界にとって良いことなのだから」と述べた。
原題:SpaceX’s Shotwell Says US Regulators Must ‘Go Faster’ (2)(抜粋)
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