11月3週(18-22日)の日本株は上値が重い展開となりそうだ。国内企業決算が低調で投資家の買い意欲に欠ける中、米国のトランプ次期大統領による景気対策への期待が一服しそう。半面、米エヌビディアの決算が半導体関連の見直しにつながれば相場の支えとなる。

11月2週の東証株価指数(TOPIX)は週間で1.1%安と3週ぶりに反落した。トランプ氏の大統領選勝利を受けた米国株の上昇が一服し、海外からの追い風が乏しくなった。日本株には同氏の「米国第一主義」政策への懸念が重しとなったほか、国内外の金利上昇も警戒された。

国内の企業決算は保険などを除いて発表のピークは過ぎた。SMBC日興証券によると、14日時点でTOPIX構成企業(除く金融)の今期(2025年3月期)純利益は前期比1.5%減の見通し。業績面で日本株は一段の上値を追いづらい状況にある。

最大のイベントは20日に予定される米エヌビディアの決算発表だ。人工知能(AI)半導体への需要の強さは台湾の鴻海精密工業の決算などでも確認されている。改めて成長性が評価されるようなら、日本の半導体関連などにも見直し買いが入りやすい。

このほか米国では19日に10月の住宅着工件数、21日に中古住宅販売件数などが公表される。日本銀行の植田和男総裁は18日に名古屋市で記者会見する。21日にはパリ・ユーロプラス・ファイナンシャル・フォーラムで講演と質疑応答を行う。

《市場関係者の見方》

ニッセイアセットマネジメントの松波俊哉チーフアナリスト

トランプ相場の熱狂は初期段階が終わり、調整局面となりそうだ。トランプ氏の公約について、米国市場が来年以降の実現性を検証していくことになれば、日本株も買いが一巡しやすい。日本の企業決算は実績と通期ガイダンスとも期待外れだった。エヌビディアが好決算を出せば一時的に日本のテクノロジー株が上がることも考えられるが、指数全体への影響は限定的ではないか。

SMBC日興証券の太田千尋投資情報部部長

決算発表が終わり、相場はあまり大きく動かないのではないか。米国は景気が強く、金融当局者も利下げは急がないという感じになっている。経済統計で一喜一憂する状況が続く形になる。中間配当が投資家の手元に渡る時期が迫り、企業の自社株買い表明も多いため、大きく崩れることはないだろう。

--取材協力:岩井春翔、田村康剛.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2024 Bloomberg L.P.