(ブルームバーグ):米投資ファンドのキュリRMBキャピタルでパートナーを務めた細水政和氏が独立し、運用会社を立ち上げた。同氏はキュリRMBで運用を担当していた日本株特化のアクティビスト(物言う株主)ファンドを引き継ぐほか、新たなファンドも設定する。来年1月から150億円規模での運用開始を目指す。
ブルームバーグとのインタビューで同氏が明らかにした。10月に運用会社サファイアテラ・キャピタル(本社・イリノイ州シカゴ)を設立。キュリRMBキャピタルからの独立に当たり、私募のアクティビストファンドの運営も引き継ぐ。
既存ファンドは、過去に三陽商会やテレビ朝日ホールディングスのほか、中小型株などに投資していた。伊藤忠商事が株式公開買い付け(TOB)を実施し、非上場化したファミリーマートの旧株主としての権利も引き継ぐ方向だ。ファミマを巡っては、伊藤忠によるTOB価格が安過ぎたとして、同ファンドやオアシス・マネジメントのファンドなどが公正価格の決定を求めて提訴した裁判が係争中。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によると、アクティビストが株式を保有する日本企業の数は14日時点で140社と年々増加傾向にある。昨年3月、東京証券取引所が株価純資産倍率(PBR)1倍割れの企業に対して改善に向けた取り組みの開示を求めたことも、株価が割安に放置されている企業に対するアクティビストの攻勢を強める契機となった。

細水氏は、日本でガバナンス(企業統治)改革が進展したとはいえ、「まだ道半ばだ」と指摘。「特に中小型株には企業価値向上の余地がある企業が多く、投資機会は豊富だ」と語った。注目セクターとしては、大手自動車メーカーの系列解体が進む自動車部品業界や株式や不動産など多くの含み資産を持つ放送業界を挙げた。
サファイアテラでも日本の中小型株を主な投資対象とし、積極的な提案やエンゲージメント(対話)を行うことで企業価値向上を目指す運用方針を続ける。年末までに新規ファンドも設定する計画で、主に北米の年金基金、大学基金などの投資家を中心に参加を募る。1億ドル程度(約152億円)での運用開始を目指しており、2-3年をめどに3億-5億ドルに拡大したい考えだ。
細水氏はキュリRMBキャピタル(旧RMBキャピタル)在籍時に、三陽商会やアニメ「機動戦士ガンダム」の版権管理会社の創通などの日本企業に対し、株主として企業価値向上のための提案や対話を行ってきた。
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