旅行各社はつい3カ月前、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後の一大旅行ブームが勢いを失いつつあると警告していた。

しかしこの1週間に、米旅行予約サイト大手のエアビーアンドビー、ブッキング・ホールディングス、エクスペディア・グループが相次いで好調な見通しを発表。予想されたほど成長が鈍化していないことを示唆した。

エアビーは7日、重要な指標である宿泊と体験の予約件数の加速が予想され、7-9月(第3四半期)に達成した8.5%を上回る成長率が見込まれると明らかにした。アナリストは7.7%の伸びを予想していた。同じく7日に決算を発表したエクスペディアは、通年のグロスブッキング伸び率見通しを4%から5%に引き上げた。

エクスペディアの株価は時間外取引で4.8%上昇。エアビー株は決算発表直後に買われたが、その後は反落し3.5%安となった。この1週間前、旅行予約サイトのカヤックやプライスラインも運営するブッキングは、予想外に楽観的な見通しを発表。株価急伸につながった。

政策当局者や投資家が米国経済の強さを見極めようとする中、これら企業の予測は、旅行需要の幅広い鈍化の到来というシナリオを覆すものであり、総じて楽観的になれる理由を提供している。

エアビー

エアビーは7日付の株主宛ての書簡で、「力強い需要動向」を挙げ、10-12月(第4四半期)は「9月の強い勢いを土台に素晴らしいスタートを切ることができた」と述べた。

同社の7-9月期の予約宿泊数と調整後利益は予想を上回った。パリ五輪に後押しされ、欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域の予約宿泊数が「やや加速した」。2桁の予約増などで中南米とアジア太平洋地域が引き続き成長をけん引。緩やかではあるものの、アジアでは特に「中国アウトバウンド事業の回復に支えられた」という。

夏に需要鈍化の兆しが見られた北米では、予約の伸びは出足が鈍かったものの、7-9月期には改善。同地域では、国内旅行が引き続き予約の大半を占め、都市部以外の目的地や大規模な団体旅行がこれまで以上に急成長しているという。

全ての指標が予想を上回ったわけではない。エアビーの7-9月期の純利益は13億7000万ドル(約2090億円)で、アナリスト予想の13億9000万ドルを下回った。また、2024年がうるう年だったことや、イースター(復活祭)の時期が通常より早かったことが、2025年1-3月(第1四半期)の前年同期比の伸びを抑える要因になると説明した。

エクスペディア

エクスペディアの7-9月期のグロスブッキングは275億ドル。アナリスト予想は267億ドルだった。エクスペディア・ドットコムやホテルズ・ドットコム、民泊予約サイト「Vrbo」を含む旅行サイトを通じた予約は計9740万泊と、これもアナリストの予想を上回った。

エアビーとブッキングが売り上げの大半を海外市場に依存しているのに対し、エクスペディアは売上高の約3分の2を米国で稼ぎ出しているため、米国内の裁量支出を測る有力な指標であり、旅行需要の把握する手段を投資家に提供している。9月までの3カ月間は、米国人が夏休みを取り、冬の旅行を計画し始める時期であるため、同社にとって書き入れ時だ。

エクスペディアのアリアーヌ・ゴラン最高経営責任者(CEO)はつい数カ月前、旅行需要が軟化するとの見通しを示していた。同社は7日の決算発表前に通期予想を2度下方修正していた。

ゴラン氏は7日の電話会議で、7月の需要は軟調だったが四半期が進むにつれ、海外市場を中心に持ち直したと説明。米国よりも海外の需要が強かったと指摘した。

原題:Airbnb, Expedia Are Latest to Signal Holiday-Season Uptick (1)(抜粋)

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