(ブルームバーグ):米大統領選におけるトランプ前大統領の勝利が6日に明らかになるにつれ、政治に関する結果を予測する賭けサイトの有効性も示されつつある。
世論調査では相次いで接戦が予想されていたにもかかわらず、賭けサイトでは投票日の数週間前からトランプ氏がハリス副大統領より圧倒的に有利であることが示された。こうした見方はしばしば疑問視されてきたが、最終的に賭けサイトに軍配が上がった。
特に金融界では、今回の選挙を、世論調査および賭けサイトの相対的な有効性の是非を問う国民投票と見なしていた。今後、賭けサイトが市場主導で「向かうところ敵なし」との評価を高めていくことに今や疑う余地はない。
米インタラクティブ・ブローカーズの創業者で資産家のトーマス・ピーターフィー氏は、賭けサイトなどの予測市場が今後「世界を動かしていく」と指摘。
「人々は自分の言いたいことを言う傾向にあるが、これらの市場では結果がどうなってほしいかではなく、結果がどうなると考えるかで賭けが行われる。こうした質問から感情が排除されるのだ」と述べた。
共和党の大口献金者でもあるピーターフィー氏は、大統領選挙から世界の二酸化炭素排出量、米国の新規失業保険申請件数に至るあらゆる事象に賭けられる予測市場を開発するためインタラクティブ・ブローカーズに数百万ドルを投じている。
インタラクティブ・ブローカーズ傘下「ForecastEx」でのトランプ氏の勝利確率は5日の投票締め切り数時間前で約62%だった。
ピーターフィー氏は投票前のインタビューで、このプラットフォームが利益を上げるには程遠いが、最終的には利益を生み出し、そこから得られる洞察は企業や政府にとって非常に価値のあるものになると語った。
利益の追求
世論調査がトランプ氏の勝利を外した2016年の大統領選以降、予測市場が一段と人気を博すようになっている。ハリス氏が7月に選挙戦に参入してからは、予測市場への注目度が次第に高まり、そのオッズが選挙戦に関する日々の会話で取り上げられるようになった。
ピーターフィー氏らにとって幸運だったのは、10月に入り裁判所が米予測市場プラットフォームのカルシによるデリバティブ(金融派生商品)を用いた米大統領選の結果に対する賭けを認めたことだ。これによりForecastExなど他のプレーヤーにも事実上ゴーサインが出てトレーダーが殺到した。
これらのサイトはギャンブル愛好家の遊び道具に過ぎず、男性にユーザーが偏った流動性の低い小規模の市場をつくり出しているとの批判もある。
また、暗号資産(仮想通貨)ベースの賭けサイト、ポリマーケットなどでの取引は暗号資産でしか行えないため、非常に限られたユーザー層が対象となっている。
ポリマーケットは最近、あるフランス人がトランプ氏の勝利に4500万ドル(約70億円)余りを賭けたことを明らかにしたが、これが不当にトランプ氏の勝利確率を押し上げた可能性がある。
カルシのタレク・マンソール最高経営責任者(CEO)は、同社のプラットフォームを利用するトレーダーの約90%が男性であると認めたが、「そのことは何ら影響しない」と主張。同社ウェブサイトの女性ユーザーのうちトランプ氏の勝利に賭けた割合が男性の割合を上回っていることを理由に挙げた。これは世論調査のデータと異なっている点だ。
結局のところ、予測市場の正確さは利益の追求が人間にとって最も純粋な動機であるというウォール街の見解を裏付けた。
また、スポーツ賭博の合法化によりギャンブルが主流となり、政治に関する賭けを行う方法も今やかつてないほど増えた。これが参加者を引き付け、理論的には予測市場の価格が発するシグナルが改善されている。
原題:Trump Win Boosts Prediction Markets That Nailed Election Outcome(抜粋)
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