(ブルームバーグ):米インテルが10月31日に示した10-12月(第4四半期)の売上高見通しは市場予想をわずかに上回った。これを受け、失った市場シェアを一部回復できるのではないかとの楽観的見方が広がり、株価は時価外取引で上昇した。
発表資料によると、10-12月期売上高は133億-143億ドル(約2兆200億-2兆1700億円)の見通し。アナリスト予想平均は136億ドルだった。1株利益は12セントを見込む。市場予想は6セント。
インテルの株価は通常取引終了後の時間外取引で一時9.2%高となった。今年これまでに57%下落していた。
かつてコンピューター用半導体業界のリーダーだったインテルは現在、事業てこ入れ計画向けの資金確保で手元資金温存に取り組んでいる。この計画についてパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は、企業史上「最も大胆な再建プラン」だとブルームバーグとのインタビューで語った。
7-9月(第3四半期)には人員カットを発表し、支出削減を実施したほか、株主への配当支払いを停止した。人員削減は計1万6500人に上る見通し。ゲルシンガーCEOは今後、顧客からの新規受注獲得で資金流出を埋め合わせできることを示す必要がある。
かつて世界最大のチップメーカーとして投資家の人気を集めていた同社の凋落ぶりは、人工知能(AI)ハードウエアを選好する半導体業界の大きな変化を浮き彫りにしている。企業はAIアクセラレーターチップを搭載したコンピューターに投資しているが、この分野にインテルの製品はほとんど進出していない。顧客はエヌビディアに流れている。

決算発表後の電話会見でゲルシンガーCEOは、AIアクセラレーターチップ「Gaudi」の受注は予想より軟調で、通期の売上高目標5億ドルを達成できないだろうと語った。
ブルームバーグなどの報道によると、インテルは企業価値低下によって、さまざまな分割シナリオで同社を買収する可能性のある企業にとって魅力的になった。かねて同CEOは、過小評価されていると考えられる一部事業部門については社外で投資家を探したり、市場で株式を売り出したりする可能性に言及している。

ゲルシンガー氏はインタビューで、同社を一体的に維持する意向だとし、自身の計画は取締役会の支持を得ていると表明。そうした取り組みに「多くのエネルギーと情熱」を注ぐつもりだと述べた。
一方、同社はプログラマブルチップ部門アルテラについて、投資家候補と交渉中だ。ゲルシンガー氏は電話会見で、そのプロセスは来年初めに完了する見込みだと述べた。
インテル製半導体はかつて数十年にわたり、その優れた製造技術によって市場をリードし、高い市場シェアを確保していた。この分野でリーダーシップを取り戻すための大規模な計画には新しい工場ネットワークが含まれる。計画を進める間、インテルは売上高低迷とコスト上昇に直面。かつては業界の羨望(せんぼう)の的だった利益率が破壊された。
7-9月期決算では粗利益率が15%だった。ピーク時には通常、60%を大きく上回っていた。
一部項目を除いた1株損益は46セントの赤字、売上高は6%減の133億ドルだった。売上高は、7-9月期としてこの10年余りで最低の水準となったが、自社予想は上回ったとゲルシンガーCEOは指摘した。アナリスト予想平均は1株損益が3セントの赤字、売上高は130億ドルだった。
原題:Intel Surges After Results Spark Optimism Over Turnaround (2)(抜粋)
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