米銀大手シティグループ経営陣はマネジャー数百人のボーナスを取り消し、コンサルティング費用を削減するなどして経営立て直しを加速するべきだと、元行員の集団が主張した。

元行員らは取締役会に5ページから成る書簡を今月送付。ブルームバーグはこのコピーを確認した。書簡の著者は、同行の元マネジングディレクター10人を代表していると称している。

書簡の中でこのグループは取締役会に対し、組織改革や業務再編への寄与に応じ各部署のマネジャーが受け取っている報酬の回収や停止を行うよう要求。取締役会は書簡を今月受け取り、グループは話し合いの場を設けることを提案したと、事情に詳しい関係者が明らかにした。

この元マネジングディレクター10人はシティの株価に連動する合計1270万ドル(約19億3500万円)の繰り延べ報酬の支払いを待っているという。ブルームバーグは10人全員の身元を特定できていない。グループのメンバーと連絡を取っているがグループには入っていないという元マネジングディレクターによると、メンバーはビデオ会議を開いて要求について話し合っている。

ジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は昨年、野放図に広がった社内組織を簡素化する計画を発表。2万人を削減して指揮系統を再編し、規制当局の要求を満たすと表明していた。だが、今月発表された7-9月(第3四半期)決算は全部門が増収を確保したもののの、有形自己資本利益率(ROTE)が低下したこともあり投資家の反応は芳しくなかった。フレーザーCEOはROTEの向上を目標にしている。

シティの広報担当者は電子メールで配布した発表文で「この匿名の書簡には事実の誤りが多く、誤った記述も数多い。当社は強く反論する」との見解を示した上で、「とは言え、当社の利害関係者が可及的速やかな進展を望んでいることは認識している。この目的を共有し、実現に向けて厳しい決断を下していく」と続けた。

シティの株価は年初来で25%上昇しているが、米国内の主な競合企業の多くには見劣りする。株価純資産倍率(PBR)が1倍を割れているのは米6大銀行のうちシティだけだ。

書簡では、外部のコンサルティング会社に支払う費用を少なくとも50%減らすことも求めている。1月の投資家向けプレゼンテーションによると、昨年はこの費用が3億ドルと、それぞれ7億ドルだった過去2年から既に減少していた。

シティは2021年終盤に「トランスフォーメーション・ボーナス・プログラム」を導入し、多くの幹部報酬を同社のリスク管理や統制、企業文化の改善と密接に連動させた。プログラムの対象は250人余りで、ボーナス目標額に対する支払額の割合は22年が94%、23年が80%だった。

年次株主総会向けの文書によると、マーク・メイソン最高財務責任者(CFO)とアナンド・セルバケサリ最高執行責任者(COO)は23年に通常のボーナスに加え、100万ドルずつ受け取っていた。

これまでの改善のペースに対する規制当局の不満を踏まえると、このような支払いは「正当化できない」と、グループは書簡で指摘。また、経営陣の業務は「重要な時期にあるシティに必要な独立した思考や経営執行力、戦略的方向転換といったことよりも、フレーザーCEOへの長期にわたる忠誠が反映されている」と批判した。

原題:Ex-Citigroup Bankers Urge Board to Claw Back Hundreds of Bonuses(抜粋)

--取材協力:Sridhar Natarajan.

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