日本ペイントホールディングス株が29日の東京市場での取引で大幅続伸し、一時前日比24%高の1258.5円と2000年2月15日以来の日中上昇率を記録した。

同社は28日、米国と欧州を中心に事業を展開する化学品関連メーカーであるAOCなどを保有する米テネシー州の企業を米投資ファンドから約23億ドル(約3341億円)で取得すると発表していた。

AOCはコーティング周辺製品向けで米欧市場で支配的な地位を築く。23年の売上高は約15億ドルでEBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)は約5億ドル。初年度からEPS(1株当たり利益)は通年寄与ベースで15-17円の貢献を見込む。

買収資金は金融機関からの借り入れを想定。新株発行を伴う資金調達の予定はなく、既に日本の金融機関から融資証明(コミットメントレター)を取得済みで日本円の低い資金調達コストを生かし、EPSの最大化を進めるとしていた。

SMBC日興証券の新谷泰大アナリストらは28日付のリポートで、「EPSへの貢献の大きさ、収益性の高さなどを踏まえ、印象はポジティブ」とした。

若月氏

同社は投資銀行出身の若月雄一郎共同社長らの指揮のもと、利益や事業リスク面などで好条件の合併・買収(M&A)を重ねて一株あたり利益(EPS)の積み上げを目指す「アセット・アセンブラー」と呼ばれる経営手法を採用。19年にオーストラリアのデュラックスグループを約3000億円、21年には欧塗料メーカーのクロモロジー・ホールディングスを約1500億円で買収することを発表していたが、ここ数年は1000億円を超える規模の大型案件は手掛けていなかった。

SMBC日興の新谷氏らは、「直近では、同社のM&Aに対する期待値はさほど高くなかったとみられ、M&Aの実行力を再評価する余地もあるだろう」と述べた。

  • 関連記事:日本ペイント、3340億円で米AOCなど買収-米欧市場に強み (2)

(背景情報などを追加して更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2024 Bloomberg L.P.