10月第5週(10月28日-11月1日)の日本株は小幅に反発する見通し。27日投開票の衆議院選挙を警戒した売りがなくなり、相場は持ち直しやすくなる。ただ、日本銀行の金融政策や米国大統領選の行方を注目する投資家は慎重な姿勢となり、相場の上げ幅は小さくなりそうだ。

第4週は衆院選で与党の過半数維持が微妙との世論調査が伝わり、東証株価指数(TOPIX)は週間で2.6%安と続落した。過去の値動きから衆議院解散から総選挙期間の日本株は買いとのアノマリー(経験則)があったが、与党苦戦との報道は失望売りを誘った。衆院選を通過した第5週は反動が出そうだ。

日銀は30、31日に金融政策決定会合を開く。今回の会合では現状の政策を維持するとの見方が大勢を占め、植田和男総裁の会見に注目が集まる。前回会合から、外国為替相場は10円ほど円安が進み、為替水準やマクロ経済に対する見解が材料視されそうだ。米景気の回復を背景に利上げに前向きな発言が出れば、為替は短期的に円高に振れ、国内株式相場の重しになり得る。

米企業決算では「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるハイテク大手の開示が相次ぐため、日本株相場へ影響が出そうだ。29日にアルファベット、30日にメタ・プラットフォームズとマイクロソフト、31日にアップル、アマゾン・ドット・コムが発表する。

《市場関係者の見方》

インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジスト

衆院選への不透明感が晴れ、自律反発するだろう。米ハイテク大手の決算でポジティブな内容が出れば、国内でも半導体関連株が物色されそうだ。為替相場に沿った値動きにもなりやすい。為替は米大統領選の影響を大きく受けており、日銀の金融政策の決定も控える。日銀会合では、植田総裁が今後の利上げの判断材料とする米経済の不確実性が焦点。改善したという見解を示せば、12月にも利上げに踏み切るとの見方から為替は短期的に円高に振れるだろう。

岡三証券の内山大輔シニアストラテジスト

衆院選の結果で不安が高まっても一時的で、相場は下落しても企業業績を評価しながら少しずつ戻していくだろう。米企業決算を受けて景気懸念が後退すれば、日本株にはポジティブだ。ただ、米大統領選を前に投資家は大きな持ち高を取れないため、相場の戻りは限定的になりそうだ。

ピクテ・ジャパンの糸島孝俊ストラテジスト

米大統領選や日米の金融政策の決定を控えて、マーケットは大きく揺れ動くだろう。米金利がピークを迎えれば、為替はドル安・円高になり、株式市場における円安の支えはなくなる。日米金利の動きを見極めるために様子見ムードが広がり、短期目線の投資家しか手が出せない環境になりそうだ。

--取材協力:岩井春翔、我妻綾.

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